UVトプコール→M42 マウントアダプター
2012年 02月 25日
1964年頃のことです。
おやじに 待望の一眼レフ ミノルタSR-1を買ってもらった中学生のわたしは 露出に苦労しておりました。
1963年に東京光学から 付けているレンズを通して適正露出をはじき出す(今で言うTTLです)の トプコンREスーパーが
ミラーメーター(ミラーにスリットを切り込み ミラー裏のCdSで測光)を搭載して
世界最初のTTL露出計搭載機として発売されていました。
そして 1964年には やはり東京光学からミラーメーター測光で
世界初のレンズシャッター式EE一眼レフの トプコンユニが発売されました。
トプコンユニは、UVトプコール53mmF2 という標準レンズが付いていて レンズ交換も出来たのです。
トプコンRE スーパーは 高価であきらめていたのですが、 トプコンユニはレンズシャッター機だけあって 価格も安く
とても欲しかったです。
でも中学生の分際で 2台目のカメラを親父にねだることなんかとても出来ず
カメラショーで貰ってきた カメラ綜合カタログを ヨダレを垂らして見ていたものです。
1. UVトプコール53mmF2付き トプコンユニ
それから二十数年が経った1992年のある日、朝日ソノラマの「クラシックカメラ専科」という雑誌で
『レンズシャッター式一眼レフのレンズである UVトプコールは、シャッターの厚さ分だけフランジバックが長くなっており
他のフォーカルプレーン式一眼レフにアダプターを使って使用できる』 という記事と
実際に トプコンREスーパーなどで使うための UVマウントアダプターの 『写真』 をみつけました。
2. クラシックカメラ専科
この本です
もう20年まえになるのですね
朝日ソノラマは 「現代カメラ新書」など
面白い本を出す朝日新聞系の出版社でした
数年前に 惜しまれつつ廃業しました
表紙には トプコンPRが写っておりますね
3. 記事と写真
そのとき読んだ 記事と写真です
爪楊枝の先の文章です
でもこのときは、既に 中古で買った トプコンREスーパー や REトプコールも数本持っておりましたし、
UVトプコールのアダプターのことは そのうちに忘れてしまっておりました。
それからまた二十年近くが経った 昨年2011年の9月の暑い日のことでした。
庄内にある 大阪脳神経外科病院での定期検診の帰り いつも覗くクツワカメラという中古カメラ屋さんで
UVトプコールが3本付いた 新品のように綺麗なトプコンユニを見つけました。
数十年ぶりの トプコンユニと UVトプコールとの再会でした。
4. トプコンユニ と UVトプコール
レンズ3本と ボディで 1万円でした (^^)
左から、UVトプコール 135mmF4、200mmF4、35mmF3.5 と 53mmF2付きの ユニです
うん? レンズ 4本あるやん
えへへ、ユニのすぐ左側の35mmF3.5は あとから eBayで買い求めたレンズです
長くなりました
が、話しは まだまだ続きます
持ち帰った トプコンユニを いじくります。
ボディは新品同様で美しく レンズシャッターも快調、MR-9電池を入れたら TTL露出計も動いています。
UVトプコールは すべて新品みたいに綺麗な 53mmF2、135mmF4、200mmF4の 3本が付いておりました。
でも 53mmの標準レンズは 絞りが粘って開放以外で使えません、それで安くしてくれたんでしょう。
わたしは 古いレンズは絞り開放で使いますので 別にええのです (^^)
ところで 評判の良いUVトプコールですが 銀塩フィルムでしか撮れません。
わたしは なんとかデジタルの一眼レフで 21世紀を UVトプコール達に見せてやりたいのです。
と、なると UVトプコールが他の一眼レフで使える マウントアダプターを探す必要があります。
UVトプコールを ボディから外して 詳しく見てみます。
絞りはレンズ鏡胴の中にありますが、絞りリングは ユニのボディ側に残り レンズ単体では絞りの調節ができません。
これは コンタレックスのマウントの場合と同じで マウントアダプターに絞り調節リングが必要なのです。
1992年に見た UVトプコール用のマウントアダプターは 絞り調節リング付きだったのを思い出しました。
インターネットで 「UVトプコール マウントアダプター」 や 「UVトプコールの改造」で検索しますと ありました。
1. トプコンユニ から、絞りリング付きマウント部を取り外す
2. 絞りリング付きマウント部の後部に M42のマウントをビス止めで合体する
3. これで UVトプコールを、M42マウントのカメラで使えるマウントアダプターが出来る
ヤフーオークションで Kitakatayaさんが M42マウント部分を販売されていることも判りました。
でも 新品のような トプコンユニから マウントを取り外すと、UVトプコールは M42マウントとなり使い道が増えますが
逆に マウントを取り去られたトプコンユニが 死んでしまいます。
わたし もう銀塩フィルムでは10年以上も写真を撮ってないのに フィルム写真が撮れなくなるのはイヤなんです。
そこで もう1台 ジャンクのトプコンユニを探し それから絞り調節リング付きマウント部を外すことにしました。
半年ほど 梅田近辺の中古カメラ屋さんで トプコンユニのジャンクを探しましたが なかなか見つかりません。
あったものは 絞り調節リング付きマウント部分が取り去られたものとか この部分も壊れているものでした。
やっと今年2012年になって、アメリカの eBayで見つけました。
壊れた 黒の べセラートプコンAuto100(ユニと同一品)に 黒のUVトプコール53mm(これは壊れてません)が付いて約千円でした。
でも なんと落札価格の4倍も 郵送料(ボディは重いから)がかかりましたよ (;。;)
アメリカから来た 壊れた黒いべセラートプコンAuto100から 絞り調節リング付きマウント部を取り外して
Kitakatayaさんから来た M42マウント部をビスで固定して 「UVトプコール → M42」の アダプターが完成しましたぁ (^^)
5. 残骸
ビスを3個外すと、絞り調節リングとマウントが一緒になった部分が取れます
写真は マウント部を取り去ったあとの べセラートプコンAuto100の残骸の姿です
6. 記念写真
マウント部を取り去られて可哀想な べセラートプコンAuto100 と
もう少しで そんな姿にさせられそうだった トプコンユニ の 記念写真です
べセラートプコンAuto100は、内臓物がハミ出してこないように セロテープを貼ってます
可哀想ぉ~
小さな穴が セイコーのビハインドシャッターです
UVトプコールの後玉を出た光束は この径よりも小さくなければならなかったのです
7. UVトプコール→M42 マウントアダプター
はいっ、UVトプコール→M42 マウントアダプターの完成です
絞りの数字と AUTOと書かれた部分までが
べセラートプコンAuto100から外した 絞り調節リング付きのUVトプコールマウント部で
写真では判りにくいですが、ギザギザより下の部分が Kitakatayaさんから来た M42のネジ部です
このM42のネジ部は UVトプコールが無限遠まで使えるように厚みを調整してあるのです
いひひひ、これで UVトプコール達が M42マウントのカメラで使えます
それでは 写真に行ってみましょう
8. ヘキサコン & UVトプコール 35mmF3.5
まず 世界初のペンタプリズム搭載機で M42マウントのコンタックスSと言いたいのですが
これはそのあとのコンタックスDの輸出版 ヘキサコンです
完成したマウントアダプター経由で付けているのは UVトプコール35mmF3.5です
やはりM42といえば ヘキサコンに付けねばなりますまい
クツワカメラで買ったユニの 53mmF2は絞り開放でしか使えないので
去年eBayで探していたら UVトプコール35mmのミント(新品同様)品が15ドルで落札できました
9. ペンタックス SL & UVトプコール 200mmF4
ペンタックス SL に 付けた UVトプコール 200mmF4 です
なんという 前玉の大きさでしょう
200mmF2.8 みたいですね
そうなんです
UVトプコールの後玉を出た光束は、全て 精工舎(セイコー)のビハインドシャッターの小さな口径を通らねばならないため
同じ明るさを得るためには、前玉を普通のフォーカルプレーン一眼レフ用のレンズよりも ぐっと大きくする必要があったのです
後玉で絞られるために 前玉は多くの光を集めるために大きくせざるを得ないのでした
5群6枚構成 200mmF4としてはエレメント数が多いですが、最短撮影距離は なんと6mです
生まれながらにして 小さなマウント径による小さな後玉というハンディキャップを持っていたUVトプコールです
前玉を大きくするには 当然コストも多くかかったでしょうが どのUVトプコールレンズも安価で評判も良かったです
写真に行ってみるって言ったのにぃ~
UVトプコールでの写真 早ょ~出せ~
10. ぐちゃぐちゃ
はいっ、UVトプコール35mmF3.5 の試写です
夜の本棚のうえの ぐちゃぐちゃなところを撮っています
絞りは 開放F3.5 です
1963年製、トプコン ウィンクミラーS の時代からのレンズです
1960年代のレンズといえば、カールツァイスでも ニコンでも フレアーがかった画像が多かったですが
UVトプコール35mmには フレアーらしきものが 全く認められませんね
UVトプコールの名称は レンズエレメントの貼り合せに使うバルサムに
UVフィルターに使われていた紫外線防止の材料を混入させたことからついたとのことです
のちのマルチコーティングも真っ青になる良い写りだと思います
■ 2012年2月19日 ■ UVトプコール 35mmF3.5 on Lumix G1
11. 合掌造り
これも UVトプコール 35mmの開放です
服部緑地公園の日本民家集落です
35mmF3.5開放って こんなにシャープだったんですね
■ 2012年2月21日 ■ UVトプコール 35mmF3.5 on Lumix G1
12. 53mm開放コムギ
UVトプコール 53mmF2 開放で撮ったコムギです
う~む、この写りも 1960年代のレンズの開放描写とは思えないです
柔らかいがシャープという写りです
この53mmは、アメリカから来たベセラートプコンAuto100に付いていた
黒鏡胴の53mmF2を使っています
■ 2012年2月21日 ■ UVトプコール黒 53mmF2 on Lumix G1
13. KTV 水泳バス
UVトプコール 200mmF4の 開放です
最短撮影距離が6mですので 被写体を見つけるのに苦労します
G1に付けて撮っていますので 35mm判換算で400mmということになります
その割にクリアーで色乗りも良いと思います
■ 2012年2月23日 ■ UVトプコール 200mmF4 on Lumix G1
14. また コムギ
えへへ、また コムギです
12枚目と同じ 黒いジャンクのベセラートプコンに付いていた 黒鏡胴の53mmF2 開放です
柔らかくシャープな写りも かわりませ~ん
■ 2012年2月24日 ■ UVトプコール黒 53mmF2 on Lumix G1
UVトプコールの 135mmF4を使っておりませんが
また今度 UVトプコールの特集をやりたいと思っています
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■ 2012年2月19日~2月24日撮影
■ 1 ~ 9枚目 Micro Nikkor 60mmF2.8D on D700
■ 10 & 11枚目 UV Topcor 35mmF3.5 on Lumix G1
■ 12 & 14枚目 UV Topcor 53mmF2 on Lumix G1
■ 13枚目 UV Topcor 200mmF4 on Lumix G1
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むかしのUVトプコール、絞り開放から良く写ります
なんで こんなに良く写るのかぁ~
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インターネットで 「UVトプコール マウントアダプター」 や 「UVトプコールの改造」で検索しますと ありました。 1. トプコンユニ から、絞りリング付きマウント部を取り外す 2. 絞りリング付きマウント部の後部に M42のマウントをビス止めで合体する 3. これで UVトプコ... more
往年のスターのようなやわらかな感じがでておりますねえ。
ebayのあたりでむずかしくって頭がくらくらになりましたが、
この写りはすんばらしいです。味ですね。
なんか香りもするような。。写真の世界は深いであります。
しかし、nakajimaさんの執念、海をも渡るでしょうか。
G1(フォーサーズ)で撮ってるんですね。
でも記事を読ませて頂くと、nakajimaさんのマニアックな拘りが
良く分かりますね。(笑)
今のレンズがどれもこれもシャキっとしているだけで、特徴を
見いだせないので、すっかり興味の対象にならなくなってきました。
まるで懐古主義のオヤジです.....
困ったモノです^^;
えへへ、松下さんのG1で MFアシストを使って撮っておりますので
ファインダーでは 530mmの視界です。
53mm x2(マイクロ 4/3) x5(MFアシスト) = 530mm
それで 動くものは なかなかうまく撮れません (;。;)
おおむかしのレンズで撮るのは ほんとうに楽しいです。
ただし、執念は海を渡らず 机のうえでポチッとするだけで~す (^^)
はいっ そうなんです、マイクロ4/3フォーマットで撮っておりますので
オリジナルのイメージサークルの 隅部の描写は写りません。
開放で流れが皆無なのは その辺りから来ているのかも知れませんね。
わたしは 四隅が流れてもええので オリジナルの画像が見たいです。
それで 35mmフルサイズのミラーレスカメラを期待しております。
いえっ、改造というほどのことは やっておりません。
いろいろ調べて、机の上でポチッとやって あとはドライバーだけの作業でした。
ドナーは千円ほどでしたが 元気な黒色のUVトプコールが付いており 買い物としてはOK、
送料は not OK でしたが、アダプターが出来たら 嬉しくてみんな忘れてしまいましたよ (^^)
ありがとうございます (^^)
いまのデジタルカメラは どれでもシャキーンとシャープに写り過ぎます。
写り過ぎるレンズを使っていますと、なかなか写らない 昔のレンズを使いたくなります。
奥行きや 温かみは 古レンズのイメージから来ているのかも知れませんが
わたしも コムギの写真を見ていて そう思いました。
コンタックス S や D の時代、カールツァイスが西と東に別れてしまい
カメラを造っていた東ドイツのツァイスイコンは、輸出には コンタックスの名前は使えなくなり
このように タワーマークのヘキサコンちゅう名前で 主に米英に輸出しました。
わははは、わたしもレンズは 懐古主義者で~す。
ニッコールもキヤノンもペンタさんも 旧ミノルタも
現代のレンズの写りは シャープ・ハイコントラストで みな同じように感じますね。
それと50年後には モーターコイルが みんな錆ついて使い物にならなくなりそうです。
と、古いUVトプコール達の ねっとりしたピントリングを回しながら そう思うのでありました。
大変興味深く拝見させていただきました。
UVトプコール、優秀なレンズだったんですね。
中学生の頃、名前だけしか知りませんでしたが写真を見てびっくりです。
やわらかくてシャープな写りがたまりませんです。
コムギちゃんのモデルっぷりも素晴らしい、
うちのシエルに教えてあげたいです。(笑
UVトプコールの 35mmと53mmですが 外観は本当に安物です。
距離目盛は印刷したブリキ板を巻いてビスで止めてありますよ。
でも その写りは柔らかくシャープで なかなかのものです。 さすが東京光学です。
アダプターを作ったら、いっぺんに4本もレンズが増えてしまって コムギもモデル業が大変です。
そこそこいい味があるようにおもいます。
えへへ、フジ(旧フジカ)は、その昔 日本光学・小原光学・小西六(コニカ)・千代田光学(ミノルタ)と富士写真の5社が
国から助成を受けながら 白金ルツボを使ったレンズ材料の研究を行なった
レンズ開発では日本の最も老舗会社のひとつです。
フジのレンズにはいつも文句はありません。
Xpro1、カメラに向かって左側が斜めに下がっております。
なんでこんなに ナメクジのようなデザインにしたのでしょうか?
ライカM6の巻き戻しクランク部分がひん曲がってデザインされておりました。
それだけで買うのをやめたわたしと致しましては
Xpro1は どんなにレンズが良くてもパスです。
Xpro2で ナメクジが治ったらまた考えま~す (^^)
中学生の頃から一眼レフを使っておられたんですね@@
私はおやじのキャノネットを借りては撮っておりました。
その前はフジペットで一枚撮るのにもドキドキしながらの撮影でしたよ^^
それにしても良い写り方をするレンズですね。
nakajimaさんの楽しそうな気持ちがこもってるんですね^^
えへへ、一眼レフを買ってもらうまでは おばぁちゃんに買ってもらったオモチャカメラでした。
オモカメは立派な皮ケースに入っておりましたが
I(たぶん1/30~1/50秒)と バルブしか付いてなかったのです。
東郷堂のホビックス ジュニアちゅう ボルタ判のオモカメでした。
ミノルタSR-1は とても大切にしました、働き出すまでず~とSR-1でした。
ボロボロになりましたが 今でも持っています (^^)
はいっ、UVトプコールに限らず 東京光学のレンズは 皆よく写ります。
日本ではトプコンREスーパーだけが有名ですが 外国にもファンが多いです。
今は建設工事で使う トランシットなどの精密光学製品を造っているはずです。
6年ほど前に、SONY Eマウント用のアダプターを探しましたが、販売済みでなかなかなく、いくつかのアダプターを重ねて、フランジバックを合わせた手作りのものを入手し、使うことができるようになりました。
RE用のレンズは高く、購入できませんでしたが、UVだと何とかなります。
状態のいい35mmがあれば、手元に置いておきたいです。
ここの所、使っていなくて、マウントアダプターの方式も忘れていたような状態です。
少し、発想を変えて手持ちのレンズで少しずつ取りたく思いました。
前回訪問した時は、最新の記事しか見なかったのですが、色々関心があるカメラやレンズをお使いなので、お気に入りに入れさせていただきます。
よろしくお願いします。
UV Topcor は、28mm と 100mm を除いて 35mm、50mm、53mm、135mm、200mmを持っています。
どれも 安価でしたが 非常に良く写ります。
特に 35mmF3.5 は、単層膜コーティング時代のレンズなのに みじんのフレアーもなく
わたしの お気に入りのレンズです。
ブログの下の部分の「カテゴリー」に アップした記事で使ったレンズをすべて並べていますので
お暇を見て 覗いてやってくださいね。
焦点距離と明るさの順に並べており、レンズを選んでクリックすると 記事に飛んで行きます。
「お気に入り」に 入れて頂き ありがとうございます。
わたしも Fujileicaさんを お気に入りに入れることに致します。