コダック シグネット35

2012年4月7日(土曜日)

あの大コダックが 破産法の適用を申請してしばらくになります

どうしているのかなぁ~、コダック




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皮ケース

古いコダックの皮ケースです
Kodakのネームが 誇らしげです





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コダック シグネット35_b0069128_13431535.jpg

MADE IN U.S.A BY EASTMAN KODAK COMPANY

うんっ?
Made in USA by Eastman Kodak Company との刻印があります





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コダック シグネット35_b0069128_13481349.jpg

Signet 35

1951年から58年まで 米国コダックで造られた コダック シグネット35です

前の持ち主が 電動ツールで磨いて途中で止めたような跡が見られますが
完動品で良い写真が撮れました

米国コダックは、多くの安物カメラも造りました
安く、多くの人々にカメラを売れば 本業のフィルムは必ず売れるからです

シグネット35は アメリカで95ドルで売り出されました
当時のUSドルは 360円/ドルの固定相場でしたので 換算すると3万4千2百円になります

日本では1957年にフランク永井の 「僕の給料1万3千8百円」という歌が流行りましたので
若いサラリーマンの給料の3倍近く、今で言えば40~50万円ぐらいになる高価なカメラだったのです





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コダック シグネット35_b0069128_1461942.jpg

Ektar 44mm F3.5

レンズは エクター44mmF3.5 です
このシグネット35は 今でも熱烈なファンが多いので有名ですが
それは すべてこの3群4枚構成のエクターレンズの写りによるものと思われます

わたしの記憶から申しますと、開放でピントの合ったところの解像力はツァイスのテッサー50mmF3.5 とほぼ同等で
うしろボケが テッサーよりもやや大きい感じで 結構美しいボケでした


ところでレンズに製造番号が RR14571 とありますね
これは 1955年製の14571番ということです

コダック ロチェスター工場では、この工場で造ったレンズの製造番号の前2桁に
CAMEROSITY というアルファベットを 1、2、3 ~ 0 の代わりに使って 製造年を表していたのでした
RR14571ならば RRが製造年ですので R=5、R=5で 55 すなわち1955年製ということです


【追記】2014年5月12日
ところで、この製造年の略号の CAMEROSITY とは どこから来たんでしょう?
むかし読んだカメラ雑誌(朝日ソノラマの「クラシックカメラ専科」だったかなぁ)には

1. ロチェスターはカメラの街なので CAMERA CITY
 6番目のAと7番目のCは 2番目と1番目に出ているので
 それぞれ近い発音のOとSに替えて CAMERO SITY にした

2. 英語の「好奇心」の意味の CURIOSITYからとった


と 二つの説が書かれていましたが、最初の説が正しそうな気がします
コダックの関係者に聞いてみたいですね





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コダック シグネット35_b0069128_14281047.jpg

赤いコダックマーク

この赤いコダックのロゴは どうなんでしょうね
レンズの Kodak 300 Shutter との彫り込みの内側にも赤いリングがありますが 安っぽく見えませんか (^^)

ライカが赤いライカマークを付け出したのは ライカM6からでしたので ず~っとあとからです
ライカでも赤マークを嫌うひとは結構多いらしく 限定品などでは黒マークやマーク無しにしている機種も見られますね

おっと、ニコンも1980年のF3から ジュージアーローの赤い線がグリップ部に入りました
わたしは あの赤がイヤで、発売から1年間 購入を見合わせました





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コダック シグネット35_b0069128_1447251.jpg

軍艦部

軍艦部はシンプルです
巻き上げノブ と 巻き戻しノブ と フィルムカウンターしかありません

巻き上げノブの回転方向が 反時計まわりなんですが
そのために 「回転方向を示す矢印が書かれている」と コダックは言うんでしょうね
ギアーを1枚加えれば 時計方向になるのに





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コダック シグネット35_b0069128_14564030.jpg

仕様

二重像合致式レンジファインダーです
小さいファインダーですが 三角形の距離計像が結構明るく 暗いところでも距離合わせが可能です

セルフコッキング(巻き上げることでシャッターチャージも行なう機構)にはなっておらず
巻き上げて、絞りを決めて、シャッター速度を決めて、距離を合わせて それからシャッターをチャージします

二重写し防止(巻き上げないとシャッターレバーが下がらない)機構にはなっていますが
ボディシャッターではなく レンズ鏡胴横のレバーを押し下げるシャッターですので
シャッターチャージは 絞り・シャッター速度・距離の全てを決めてからチャージしないと
指がシャッターレバーに当たって シャッターが切れてしまうおそれがあるのです





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コダック シグネット35_b0069128_15184085.jpg

鋳物

裏蓋(うらぶた)は 完全に本体から離れます

ボディ本体、裏蓋ともに 分厚いアルミニューム系軽金属鋳物を使用しております
このあたり1950年代の日本製カメラとは違って 使っている部材の材料がだいぶ高級ですね





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コダック シグネット35_b0069128_15343548.jpg

露出計算板

裏蓋には 露出計算板が付いています
フィルム感度と お天気を合わせると 絞りとシャッター速度の組み合わせが読み取れるものです

写真では、フィルムをプラスX(=ASA100)に お天気を「Bright Sun=快晴」 に合わせています
計算板は、1/300秒で 絞りF8強、1/100秒で 絞りF11とF16のあいだ、1/50秒でF16とF22のあいだ と
3通りの組み合わせになることを示しており 1/25秒ではF22でも絞り切れないことを示しております

まぁ、お天気が 「快晴」 「晴れ」「曇り」の3種類だけですので
わたしの人間露出計ちゅうか カンジニアリングと大差ありません





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コダック シグネット35_b0069128_15534684.jpg

大きさ比べ

コダック シグネット35は、小さい松下さんのミラーレスG1より 横幅は1.5cmぐらい短く 背は高いです
重さは実測で500g強です

シグネット35、アメリカでのニックネームは ミッキーマウス です
顔には見えますが ミッキーとは全然似てませんので 小さくて可愛いぐらいでついた愛称でしょう

もしこのシグネット35が壊れたら エクターだけ外してなんとかM42マウントに出来ないかなぁ~
なんて考えています (^^)





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コダック シグネット35_b0069128_1612294.jpg

PCの横で

う~む、やっぱり赤いマークが目立ち過ぎですね





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コダック シグネット35_b0069128_1615281.jpg

1950年代のトリオターと

そんな訳で、目立ち過ぎのシグネット35は
ぐじゃぐじゃの本棚のうえで やはりピカピカで目立ち過ぎる トリオター135mm の 横におります

コダック頑張れ




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 ■ 2012年4月6日~7日 撮影
 ■ Micro Nikkor 60mmF2.8D on D700
 ■ 絞り優先オート

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Commented by mizuki_2004 at 2012-04-07 18:10
消耗品を独占的に販売していくコダックのビジネスモデル、とても羨ましいモノだった。
なんとかこのビジネススタイルを取り入れたい。たしか15年ほど前、プリンタ事業に関連して
キャノン社長が語っていた気がします。

コダックやGM,パンナムの栄華とその末路は、日本企業にもきちゃうんでしょうかね。

Commented by jmiin at 2012-04-08 17:42
コダック
本当に写真界の巨人でしたが.....

今やただの倒産。信じられませんがそれが現実。

そう言う目で見るから、このシグネットもなんとなく寂しいです。
エクターも良いレンズですが.....
Commented by nakajimaakira1948 at 2012-04-08 20:46
みずきん さん、こんばんは!
コダックの凋落を見ていますと 仏教の輪廻という考え方を思います。

ワットの蒸気機関の発明から 7つの海を支配して世界の王者となった英国は
わずか期間で没落してしまい 20世紀半ばにはビートルズが外貨獲得の最大貢献者になるほど落ちぶれてしまいました。

そして日本は エコノミックアニマルと言われて経済復興をはたしました。

今また輪廻は周り、日本は落ち込み BRICSと韓国やミャンマーの時代が来ようとしています。

栄枯盛衰、金持ち3代続かず です。

さびしい話しですが、輪廻の更なる回転を期待しています。

Commented by nakajimaakira1948 at 2012-04-08 20:56
jmiin さん、こんばんは!
わははは、シグネット35だけが寂しいのではありません。
銀塩写真界全体が寂しいのです。

このエクター、1951年のレンズですが
コーティングも良くて カラーの発色も素晴らしいものがありましたねぇ。

Commented by ちくりん at 2012-04-09 14:06 x
大きな巻き上げノブと巻き戻しノブが可愛いです。
確かにミッキーマウスの大きな耳に見えなくも無いようです。

1958年は私の生まれた年です。
何となく、お前も頑張れと言われている感じがします♪
Commented by nakajimaakira1948 at 2012-04-09 15:56
ちくりん さん、こんにちは!
そう言われてみますと 大きな二つのノブが耳に見えて
ミッキーマウスというか 幼いクマさんのようにも思えますね (^^)

1951年から58年まで造られたシグネット35ですが
同じ1951年に造られたコニカIIと比べますと シグネットに精密さが欠けているような感じです。

ちくりんさん、頑張ってください
わたしも 頑張ります ♪♪♪

Commented by sabunikon at 2012-04-11 07:35
nakajimaさん、おはようございます。

可愛いカメラですね。
でもレンズはエクターがついてるんですね。
友人がレチナにハマってエクターを集めています。
味のある良い写りをするようですね。

いろんなカメラやレンズが登場するのを楽しみにしてます。
Commented by nakajimaakira1948 at 2012-04-11 08:39
sabunikon さん、おはようございます!
はいっ、可愛いクラコンです。
クラコン?
いひひ、「少年カメラクラブの時間」の藤田一咲というひとの造語で
クラシック コンパクトカメラの略称です。

エクターは米国コダックが同社の最高級レンズにだけ付けた名前なんですが
大型カメラ用の コマーシャルエクター
レチナI のためにドイツコダックに輸出した エクター50mmF3.5
レチナII用の エクター47mmF2 なんかがありましたねぇ

シグネット35のレンズは、残念ながら Ektar Lens と 最後にレンズという名前がついて
エクター味のレンズちゅう意味でしょうか (^^)

ありがとうございます。
またいろいろ紹介させていただきます。

Commented at 2012-04-13 06:36
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nakajimaakira1948 at 2012-04-13 08:56
04-13 06:36 の鍵コメさん、おはようございます!
えへへ、わたしもオリジナルを 数枚アップしておきました。

Commented by qchan1531 at 2012-04-14 07:53
コダックという響きは憧れでありました。
しかし、できる写真は白っぽいものばかり。。
Filmの感度がFujiと微妙にちがったのでしょうか。
いつもいつも悩んでばかりな、中学時代でありました。
Commented by nakajimaakira1948 at 2012-04-14 08:54
qchan、おはようございます!
わたしのコダックフィルムは、タムロン200mmF5.9が眠たい写りを繰り返していたころ
硬調のトライXを使ってみたのが最初でした。

出てきた写真は硬調にはなりましたが やはりレンズがあかんという結論でした。

コダックやアグファも 感度はフジやさくらと何も変わりませんよ~
コダックの色合いは ペンタックスのデジタルの色に似ているように思えます。

やや黄色がかったというのでしょうかね(^^)

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by nakajimaakira1948 | 2012-04-07 16:23 | 60mmF2.8D AF Micro | Trackback | Comments(12)

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