コニカⅡの こと
2012年 05月 26日
前回のブログの1枚目で ちょっと見えていたコニカⅡです。
わたしが働き出した40年まえ頃の話しです。
初任給は4万円でしたが、税金、社会保険や寮費などを引かれて 手取り2万6千円
初めて給料を貰った夜、同期たちと飲みに行って 次の朝に上着を探しても お札は1枚も残ってませんでした。
百円玉がズボンや上着のポケットから ポロポロ出てくるばかりでした。
そんな貧乏なとき、上司のS係長が 「おまえのアルミ自転車と わしのクラシックカメラを交換せんか」と言います。
中学2年のときに親父に買ってもらった ミノルタSR-1だけを後生大事に使っていたわたしは
うれしさを押し隠して 「まずそのカメラを見せてください」と頼みました。
アルミ製自転車は買ったときは高かったけど もうだいぶボロボロになっていたし
見せてもらったカメラは 皮ケースは古る~くなっていましたが 細かいめっきが美しいカメラでした。
トレード成立です。
しばらくして 写真クラブで 自慢そうに交換したカメラを見せていたら
年配のM係長が 「おっ、僕がSさんにあげたコニカやないか。なんで nakajimaくんが持ってるのん」 と。
おっと、S係長うまくやりよったなぁ。
M係長から 「これを買ったときは滅茶苦茶高かったよ。 給料の3ヶ月分ぐらいだった」 との話しを聞いて
まあ あの自転車との交換ならば わたしも得をしたと思ったものでした。
コニカⅡは、そんな経緯(いきさつ)で手に入れた わたしの古カメラ第1号機なのです。
あれから40年経って 古カメラも歳の数ほどに増えてしまいましたが
いまでも 宝物のようにとても大事にしている コニカⅡです。
1
コニカⅡ
コニカⅡとは こんなカメラです
自転車と交換後 すぐカラーフィルムを通してパチリ、発色は昔の色でしたが
ヘキサノンの解像力にギョッとしました
コニカⅡの仕様を書いてみますが 何の特徴もありませんね
■ 1951年(昭和26年)製 レンジファインダー型
■ レンズ : 小西六ヘキサノン50mmF2.8 (3群5枚) 単層膜コーティング
■ シャッター : コニラピッドS B, 1~1/500秒
■ ファインダー : 二重像合致式 倍率約0.6倍ぐらい
■ 巻き上げ・巻き戻し : ノブ式
■ シンクロ : F 接点
■ セルフコッキング : なし (フィルム巻上げとシャッターチャージは連動していません)
■ セルフタイマー : なし (鏡胴のレバーに糸を付けて引っ張れば代わりになります)
■ I と T 切替 : T にして シャッター速度Bで タイム露出が可能です
■ 寸法 : 126 x 76 x 59mm
■ 重量 : 約690g
2
ヘキサノン 50mmF2.8
レンズには Konishiroku No96349 Hexanon 1:2.8 f=50mm の刻印があります
1948年の小西六はじめての35mm判カメラ コニカⅠには ヘキサー50mmF3.5 が付いていましたので
半段ほど明るくなったわけです
【コニカの歩みより】
コニカⅠ、1948年製 ヘキサー50mmF3.5 付き
ううむ、これもほしいです
3
Konirapid S
コニラピッドS という 小西六の自社製のシャッターが付いています
1/100秒の印の上のレバーが シャッターチャージレバーです
シャッターボタンは ボディシャッターで、巻き上げしてはじめて切れますので 二重写しは防止されています
ところが、鏡胴の向かって左側のレバーは多重写し用のレバーで
これを押し下げますと チャージしたシャッターがいつでも切れますので
シャッターチャージは 絞り・シャッター速度・距離の調節が終わってからチャージしないと
多重写しレバーに指があたってシャッターが切れてしまうことがあります
まあ、レンズシャッターカメラでは セルフコッキング(巻き上げでシャッターもチャージされる)式でも
シャッターチャージより先にシャッター速度を決めておくのが むかしは常識だったです
これは 1/500秒などの最高速度に合わせる場合と低速に合わせる場合で チャージするスプリングの張りが異なるからです
セルフタイマーはありませんが 多重写し用レバーの先端には丸い穴が明いており
ここに糸を巻きつけて引っ張るとセルフタイマーの代わりになります
4
I と T の切替
I (インスタント露出)と T (タイム露出)の切替はボディ側にあり クリックが効いてカチッと決まります
星座を撮るときなどは シャッター速度をバルブ(B)に合わせて この切替をTにすると
タイム露出になります
コニカの金属キャップはアルミ製ですが 浮き出したKonicaの文字にメッキを施してあり美しいです
内側には 抜き差し時にヌルッとした感触が得られるように布が貼り付けられています
5
ダブルヘリコイド
これが普通に使っているときの鏡胴の姿です
無限遠に行ったときに 距離調節リングに付いたノブを引き上げてさらに回しますと
写真の鏡胴の細くなった部分がボディに沈胴されるダブルヘリコイドになっています
説明が判りにくいですね
6
沈胴
えへへ、判りやすいでしょ
沈胴です
でも わざわざダブルヘリコイドにしている割りに 沈胴できる距離が短いですね
7
もう一度
もう一度 コニカⅡを眺めてみます
うう~ん、かっこええ
8
コニカⅢA
うひひ、こんなんもありま~す
ずっとあとになって 中古で買ったコニカⅢA です
ブライトフレームが パララックス補正だけでなく 撮影距離によって伸び縮みして画角まで調節するファインダーで
「生きているファインダー」 と呼ばれた オールドコニカ最後を飾る傑作機です
■ 1958年(昭和33年)製
■ レンズ : ヘキサノン 48mmF2 (5群6枚)
■ シャッター : セイコー MXL ライトバリューシャッター B, 1~1/500秒
■ ファインダー : 画角・パララックス自動補正、倍率1倍
■ 巻き上げ : 鏡胴左側のレバーによる2回巻き上げ
■ セルフコッキング
■ セルフタイマー付き
■ 寸法 : 127 x 80 x 63
■ 重量 : 800g
ファインダーが等倍で、生きているファインダーでレンズも明るく 使い易いはずなんですが
わたしは シャッターのライトバリュー式(一度明るさを決めると 絞りとシャター速度がリンクして変わる)が気に入らず
コニカⅢAには フィルムを数本通しただけで~す
写りは 現代(と言っても20年ぐらいむかし)のレンズと何も変わりません
【訂正】2016年12月29日
コニカIIIAを入手して どうもライトバリュー式シャッターが使いにくいと思っておりました。
ところが コニカIIIの使用説明書を良く読みますと わたしが勝手に使いにくいと思っていたことが判りました。
コニカIII(IIIAも同じです)を上から見て、ライトバリューリングの左側だけを手前に押し下げると
絞りリングだけを自由に設定できると説明してありました。
実際にやってみますと その通り自由に絞りリングが回ります。
う~む、これでライトバリュー式シャッターの使いにくさは消えました。うれしい~ ♪♪♪
すまぬ、コニカさん
わたしが 使用説明書も良く読まずに 一人で使いにくいとほざいていたのです。
9
記念写真
自転車と交換のコニカⅡと 生きているファインダーのコニカⅢA の記念写真です
なぜか アールデコ調のコニカⅡ(右)のほうが新鮮な感じがします
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■ 2012年5月26日撮影
■ Micro Nikkor 60mmF2.8D + D700
■ 絞り優先オート
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師匠の手に渡った経緯も面白いですね。
S係長は、その自転車をは今でも持ってはるんでしょうかねえ?
新しいデジカメが発売させるたびに「欲しい~」と思ってしまう私
などは反省しなくては・・・。
とっても複雑でシャッター押すまでにかなりのスキルがいる?
40年前入手されたときでも、クラシックカメラの部類に入っていたんでしょうか。
一方M型ライカは現在のカメラと同様、シャッター巻いて、
1/1000までSS合わせて、誰でも使えます。
ライカの操作の呆気なさというべきか、見事な完成度先進性というべきか。
いろいろな60年が詰まっている写真に、お話ですね。
40年前にニコンFは50mmf1.4がついて8万円くらいした記憶が。
初任給の2倍ということは現代だと40~50万くらいですね。
今はカメラが安くてよいですがプラスチッキーで機械として萌える
ものが少ないような気がします。
コニカⅡ、ⅢAに金属の輝きに萌えちゃいます。
説明文も読んでいくと、なぜか欲しくなるんですよ…
いいお話しです.....
僕にとっての同じカメラはニコンのF-801ですが、これは大切に
保管していたのに、モールと言うモールが朽ち、モーターが死に、
最後には電源が入らなくなりました.....
ハズレなのかも知れませんが、電気カメラはダメですね。
心底がっかりしました。
コニカⅡの貼皮が老化して パリパリになって一部が浮いてきました(涙)
今回の写真をアップしたあと 浮いてきたところを丁寧にカッターで切り取り
接着剤を付けてまた貼り直しました。
S係長、記事では悪そうなひとに読めるんですが 若い社員に人望があり
後に取締役にまでなったひとで いまだに年賀状をやりとりしております。
アルミの自転車は、S係長が 若い社員たちと一緒に会社で乗り回しておりました。
最近のカメラは どうもデザインが気に入らなくて (;。;)
いえっ、むかしのレンズシャター式のカメラの 一般常識を書きましたです。
この、シャッター速度をセットしてから シャッターチャージをしたり
フィルムを巻き上げたりすることは かならず実行してください。
当時のカメラ、例えば ビトー Ⅱや コダック シグネット35でも
最高シャッター速度でのシャッターチャージは とても重いです。
シャッターチャージをしてから 最高シャッター速度に変えたら レンズシャターは壊れると思ってください。
セルフコッキングのローライフレックスでも 1/500秒を使うときは 必ずセットしてから巻き上げます 。
バルナックライカなどの むかしのフォーカルプレーン式シャッターでは 手順は逆になります。
むかしの シャッター速度ダイアルがシャッターリリース時に回転するカメラでは
巻き上げるときにも シャッター速度ダイアルも回転して 先に合わせようと思っても どこに合っているのか判らなかったですね。
はいっ、このコニカⅡを手に入れた40年前ごろ ニコンFが欲しかったのですが
額面給料の2倍以上もして あきらめたのを憶えております。
> 今はカメラが安くてよいですがプラスチッキーで機械として萌える
> ものが少ないような気がします。
現代のカメラは消耗品でよいとしても、レンズまで AFモーターや手ブレ補正なんかを内蔵して
30年ぐらいすれば みんなコイルや配線なんかが腐ってしまうんじゃないかと思ってしまいます。
まあ 買えないもののボヤキではありますが (;。;)
全金属製のボディ、ええですねぇ (^^)
いひひ、古カメラの撮影は いつも同じような写真になってしまい
ぼちぼち飽きられているんではないかと思っていたんです。
そう言っていただくと 「死ぬまで撮ってやろう」と思いま~す (^^)
説明文は、抜けているところ くどいところなんかがいっぱいあると思いますので
どしどし聞いてやってください ← うん? そんなもん聞くかいって (;。;)
> いいお話しです.....
ありがとうございます (^^)
ニコンF-801といえば つい最近のカメラではありませんか。
モールと言われるのは モルトプレーンのことでしょうか?
これは加水分解でベトベトになりますね、黒色の毛糸で代用いたしましょう。
ちょっと時代はちがいますが、ニコンの電気カメラの第1号機のニコンELも同じことです。
わたしは新古品を買ったのですが、「寿命は LSI(基盤)」ですね。
幸いに わたしのELのLSIはまだ生きておりますが、これが死んだら電源も入らないし
機械式のバルブだけが作動する文鎮になり下がります。
現在のデジタルカメラは ICの塊(かたまり)です。
長く使うということは出来ない 電気カメラなので~す。
せめて レンズだけでも 「電気レンズには なるな」 と思っていたんですが (;。;)
コニカⅡ、そんなに高価なカメラだったんですね(笑)
小学校時代の同級生(女子)のお父さんが、道頓堀橋のすぐ傍にあった「生駒写真機店」という
お店を経営されていたことから、そのお店へ母親と行き、安くしてもらいました。
レンズシャッターの儀式、懐かしいです(笑)
小学校低学年の日光写真に始まり、高学年でベスト版、中学で名前忘れましたが、
単版フィルムの蛇腹のカメラなんかで撮ってました。
これは、確か現像セットみたいな粉薬風の薬品まで付いてましたね(笑)
1950年代の初めころ、コニカⅡより高価なカメラはフォーカルプレーンの
キヤノンとニコンしかなかったと思います。
わたしはまだヨチヨチ歩きで 字が読めませんでしたので ずっとあとで知ったことですけど。
同級生のお家が写真機屋さん、ええですねぇ~ 羨ましいです。
わたしの始めてのカメラは東郷堂のホビックス・ジュニアというボルタ判のやつです。
シャッターは I(1/30秒くらい)と B(バルブ)、レンズは単玉でF11ぐらい
快晴では白く飛んでしまい、暗いところではブレブレ、曇った日の屋外ぐらいしか写真になりませんでした。
粉薬品など現像薬が付いていたカメラは トーゴーカメラなど昭和1桁のオモカメだと思っておりました。
さては、luckyさん お生まれは大正 ・・・ (^^)
狩野さん、コニカIIBに 良い思い出をお持ちなのですねぇ。
小西六のカメラに駄作は無く 特にクラシックコニカ(コニカIIIシリーズまで)は タフで良く写りましたね。
わたしのこの記事を読まれて「親父の遺品だよ」とコメントを頂いた方が 狩野さんを含めて2人になりました。
懐かしいお話 ありがとうございました。
わたしも いつまでもコニカIIを大事にしたいと思います。