コムラー 200mmF4.5 の 話し
2017年 09月 06日
皆さん 三協光機って憶えておられますか?
そうです、コムラーやコムラノンの名称で 交換レンズを造っていたレンズ専門メーカーです。
1951年に会社が設立されて 1980年に惜しまれつつ倒産してしまいました。
今日は その三協光機が1958年から製造した200mmF4.5 を 紹介します。
1958年当時は、まだ ニコンFや キヤノンフレックスが発売される前で
一眼レフと言えば エキザクタ・プラクティカ(=M42)
国内では ミランダ・旭光学・トプコン・ミノルタのマウントぐらいしかなかった時代でした。
最初の コムラー200mmF4.5は エキザクタ・プラクティカ・ミランダの各マウントを付けて発売されて
1960年に ニコンFとキヤノンRマウントが追加発売になりました。
ここで 1958年当時の国内の200mm望遠レンズを見渡してみます。
1957年のキヤノン200mmF3.5 と 同年の興和プロミナー200mmF2.8 が ありましたが
どちらも ミラーボックスを併用して ライカ型レンジファインダーカメラに使用するレンズであり
このコムラー200mmF4.5 が 35mm一眼レフ用の200mmとしては 国内初のレンズでありました。
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コムラー 200mmF4.5
右側の細身のレンズが キヤノンフレックスが発売されてから
翌年の1960年に造られた コムラー 200mmF4.5 です
絞りリングが二つある外観から プリセット絞りであることが判ります
仕様を書いてみます
概要: 三協光機製 1958年~1968年 35mm一眼レフ用望遠レンズ
構成: 3群4枚構成 フィルター径 55mmφ
最短撮影距離: 3m までの印であるが 実際にはもっと回り 2.8m 程度まで寄れる
絞り羽根: 16枚 円形絞りでなく F5.6~F11あたりでギザギザの「ダビデの星」状になる
絞り操作: 二つの絞りリングによるプリセット絞り
距離目盛: メートルとフィートの併記
コーティング: アンバー系(だいだい色)単層膜コーティング
マウント: キヤノンRマウント、ボディとの連動が無いため R・FL・FDマウントでも使用可能
寸法: φ58mm x 122mm
重量: 450g
発売時価格: 17,500円
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銘板
銘板を見てみましょう
銘板には Sankyo Kohki Japan Komura f=200mm 1:4.5 No,1235536 とあります
三協光機の「光機」を 「Kohki」と綴っていますね
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16枚の絞り羽根
なんと 絞り羽根は 16枚あります
わたしの持っているレンズでは、カールツァイス・イエナのトリオター135mmF4 と
テッサー50mmF3.5 が 15枚でしたので 絞り羽根枚数最多になります
ところが この16枚絞りですが 円形絞りになっておりません
絞り開放F4.5では円形ですが 絞りF5.6~F11あたりでは 写真のように「ダビデの星」状になります
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レンズキャップ
Komura銘が浮き出た 金属製のレンズキャップが付いています
このレンズキャップの裏側には 当時のレンズキャップが皆そうであったように ラシャのような布が貼られており
レンズには「ヌルッ」と はまるのです
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キヤノンフレックスに付けて
同年の1960年に発売された キヤノンフレックス RP に 付けてみました
大柄なキヤノンフレックス RP と 細身のコムラー200mmF4.5 ですが
良く似合っていると思います
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α7 に 付けて
ごだごだ ゴタクを述べましたが
コムラー200mmF4.5 を ソニーα7 に 付けて
日本最初の一眼レフ用200mmレンズの 絞り開放写真に行ってみましょう
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三角屋根
歪曲収差も無く 素直な良い写りだと思います
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黄色のビル
なにか シャッキとした感じがしません
解像力が少し不足しているのでしょうか
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配達トラック
やはり 解像力が不足しているようですね
それと トラックの白い部分の右側に 青い色収差が出ています
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夕焼け小焼け
こんなシーンでは 解像力の不足が目立つようです
ピント拡大機能を使って 樹にピントを合わせたのにぃ
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陸橋の上から
陸橋の上から撮っています
青い交通表示にピントを合わせています
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薄草色と赤色
陸橋の上から 薄草色のお家と 赤色の車を撮ってみました
手ブレしているのかと思いましたが そうでもなさそう
もう少し ピリッと写ってほしいぞぉ
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蔵でしょうか
古いお家の離れにある 蔵(くら)のような建物です
しっとり写って 好きな描写です
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ノッポのお家
豊中でも 木造3階建が増えています
200mmで撮ると 圧縮されて、ノッポのお家に見えますねぇ
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三脚使用で
夜中に 三脚を使って撮りました
ISOは16,000まで上げていますが シャッタースピードは 1秒です
どう評価したら良いのか 分からない写真になりました
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■ 2017年8月31日~9月3日撮る
■ 1枚目 FE28-70mm on SONY α7
■ 2、5、6枚目 AF Nikkor 28-105mm on Nikon D700
■ 3、4枚目 1-Nikkor 18.5mmF1.8 on Nikon V1
■ 7~15枚目 Komura 200mmF4.5 on SONY α7
■ 絞り優先AE、 すべて 絞り開放 F4.5
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ニコンもキヤノンも まだ一眼レフを造っていなかった時代の コムラー200mmF4.5
写りはどうあれ 大事にしたいと思います
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コムラーいいですね~。
一眼レフが高級品だった時代、世のおじさん達の強い味方であり相棒だったことは間違いないですね。
最近は少なくなりましたが、骨董市やリサイクルショップでよく見掛けましたので、当時相当な数が売れた筈です。
おじさん達の「夢と期待」を決して裏切らなかった素晴らしいコムラーレンズ群!
私は今後も収集を致す所存です(笑)
わたしが ミノルタSR-1を親父に買ってもらった1964年頃は インターネットはもちろん無くて
交換レンズは カメラ屋さんを覗きまくるか カメラ総合カタログを丹念に調べるしかなかったのです。
カメラ総合カタログでの200mmレンズの最安値は 泰成光学のタムロン200mmF5.9でした。
中学生坊主の乏しい小遣いではタムロン200mmが精いっぱいで コムラー200mmは夢の夢でした。
そうですねぇ、ベテランのおじさん達の交換レンズは 皆コムラーで
サン・コミナー・タムロン等を 引き離していたように思います。
わたしのコムラーは もう1本、コムラノン28mmF2.5 という 倒産寸前頃のものですが
丁寧な造りで良く写ります。