カテゴリ:43-86mm Ai Nikkor( 1 )

ヨンサンパーロク物語

2005年12月28日(水)

ヨンサンパーロク というレンズ ご存知でしょうか。

1963年1月にZoom Nikkor Auto 43-86mmF3.5 が
Nikon F 用交換レンズ初の 普及価格ズームレンズとして 日本光学から発売されました。
また同年 Nikkorex Zoom 35 という レンズシャッター式一眼レフに
このレンズが固定装着されて発売されました。
焦点距離の43-86mmから、俗に ヨンサンパーロク と呼ばれました。

それまでは ズームレンズと言えば Auto Nikkor Telephoto 85-250mmF4-4.5 という
バズーカ砲のようなのがあっただけで 一般写真ファンにズームレンズは無縁でした。

Nikkorex Zoom 35
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中学の同級生に 金持ちの弁護士の息子がおり、そいつが上のNikkorex Zoom 35 を
持っていて見せてくれました。
minolta SR-1 とその標準 Rokkor 55mmF1.8 を宝物のように使っていた少年の私は
ズームリングを回すと ファインダー像が大きくなったりするのに腰を抜かしたものです。
「いつかは僕もズームを」と思ったこのときが 43-86mmとの最初の出会いでした。

学生時代も就職してからも SR-1を使っていたのですが 低速シャッターのガバナーが調子悪くなり、
1975年に Nikomat FT 50mmF1.4付きを 会社の同僚から安く売ってもらいました。
そして最初に買ったニコンのレンズが あこがれの Zoom Nikkor Auto 43-86mmF3.5 の中古でした。

その写りですが、なんと全く良くないのです。
何を撮ってもキリリとしない。遠くを撮っても近くを撮ってもシャープさがありません。
当時高かった硬調フィルムの TRI-Xで試してみてもシャープに写りません。
Rokkor 55mm F1.8 や Nikkor-S 50mmF1.4 にボロ負けなのでした。
泣く泣く 1ヶ月の保証期間中に 中古を買ったウオジカメラ梅田に無理言って引き取って貰いました。
後で あるカメラ雑誌をよく読むと 「43-86mmは 解像力が悪く、歪曲収差の見本」と
ボロクソに書かれていました。

まだ続きます。
1980年に EMという絞り優先Auto専用機を購入し Manual専用のFTと2本立てで使いました。
交換レンズも Ai Nikkorを数本揃えて楽しんでいました。
Nikon EM は Ai Nikkor しか使えず、旧型の非Aiレンズ は ハマらなかったのです。
ところが 暫らくして ヨンサンパーロクが Aiタイプになって発売されたのです。
アホですので、「前の43-86mmは中古だった」、「前の持ち主が分解してたかも知れん」
「今度は Aiタイプになってる」、「当然解像力は向上、歪は減少」、「でへへ、新品を買おう」
と今度は新品で買いました。
ついでに 「古いFTや ファインダー倍率の低いEMでは 厳密なピント合わせが出来ない」と
ファインダー倍率の大きい FMも買いました。
その結果は!!!
なんとなんと、何も変わらない。
やはり 近くを撮っても遠くを撮っても、絞っても開いても、モノクロでもカラーでも
どうやってもシャープに写らないのです。
この時ばかりは、Nikonに腹が立ちました。
20年間 カス・ズームを造り続けてるのかと。
自分のアホさ加減もイヤになりました、アホさ加減を忘れぬように このヨンサンパーロクは
売り飛ばさず いまも大事に持っています。

駄文の長文、失礼しました。

それから20数年経ち、今日また 「43-86mm、案外デジタルでは ええのとちがうかな」 と
D70での試し撮りです。




1
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レンズ正面

よく写りそうでしょ
きれいでしょ
新品みたいでしょ
殆んど使わ(え)なかったからです (涙)




2
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最広角43mm状態

もともと Nikonのレンズ屋さん、このレンズを35-70mmにしようと
設計を開始したんですって

あーだ、こーだ とやって 出来上がってみたら、ヨンサンパーロク




3
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最望遠86mm状態

このレンズ、ヒゲがあるでしょ
直進式ズームなんで ヒゲで被写界深度を表せるんです。
絞りの色と、ヒゲの色を合わせて けっこう外観は凝っています。

左手で ズーム兼距離リングを伸ばしてヒネるだけなので ワンタッチズームと呼ばれました。




4
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D70 + ヨンサンパーロク

よく似合っています。

全金属製で450g、ずっしり文鎮みたいです。
D200にだったら もっと似合うかも。 えへへ




5
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レンズが重い

D70が590g、ヨンサンパーロク450gで カメラが前に倒れます。
ふとんの上では わかりませんね




6
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歪曲収差 43mm側 タル型

最広角43mm側の収差です。
43mm側では 歪曲収差は あまり目立たないけど
左の電柱が タル型に曲がっているのがわかります。




7
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歪曲収差 86mm側 糸巻き型

最望遠 86mm側の 糸巻き型収差です。
やはり ものすごい曲がりです。
左の柱、右のPVCパイプ、上の手摺り。

さすが雑誌に「歪曲収差の見本」 と書かれただけのことはあります。




8
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色収差(カラー)

ベランダから 自転車で通りがかった親子連れを 撮ってみました。
ほら、どこにもピントが合ってないように見えるでしょ
シャープさが全くないでしょ

1/640秒ですので手ブレはありません。
置きピンしてますので どこかにピントが合うはずです。

これは激しい色収差に起因していると思います。
画像をクリックして 拡大してみてください。
若い女性の自転車の荷台、もっと激しいのが右上の手摺りの部分です。
ものすごい 色収差が出ています。
これが全ての輪郭をアイマイにして 画像のシャープネスを落としています。

カラーだから色収差が 目立つのでしょうか?




9
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色収差(モノクロ)

モノクロで見ても同じですね。
右上の手摺りは ぼやけて見えるほどです。

色収差は 明暗比の大きな部分の 輪郭に顕著にあらわれますね。
この色収差が ヨンサンパーロクの解像力を落としている最大の原因と思われます。




10
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どんなんなら 良く写るの?

だから このサボテン?のような、明暗比の少ない被写体を撮りますと
色収差が目立たず 解像度を損ないにくそうです。

でも望遠端で撮っているので、左側の柱の 糸巻き型歪曲収差がすごいです。(涙)




11
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ブタ小屋を43mmで

ブースカの向かって左の眼にピントを合わせたつもりです。

眼にピントが来ている感じしませんし、全体にシャープさが足りません。
まあ 色だけは 素直な色が出ています。




12
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ブタ小屋を86mmで

これもブースカの 向かって左眼を狙ってますがシャープネスありません。
特に 物の輪郭がアイマイです。




13
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iPOD nano

ずっとヨンサンパーロクの画像を見たあとに、数年後の SIGMA 28mm F1.8での
画像を見ると シャッキとした解像度を感じます。

やはり単焦点レンズは良いようです。
これも開放で撮っています。


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  撮影データー
■ 2005年12月28日撮影
■ No.1~5 : Panasonic DMC FZ10 開放絞り
■ No.6~12 : Nikon D70 + Ai Zoom Nikkor 43-86mm F3.5
( Manual露出、すべて絞り開放、ISOなぜか250 )
■ No.13 : Nikon D70 + SIGMA 28mm F1.8
( 絞り優先Auto、絞り開放 )

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そんなわけで、ひょっとしたらと期待した D70によるヨンサンパーロクの試し撮りでしたが
歪曲収差はデジタルでも改善されるはずもなく、解像力の悪さは色収差から来ているものらしく
銀塩による写真と同じような結果になりました。

でも わたしこの「収差の見本」のヨンサンパーロク大好きなんですよー。
D200だったらこのレンズが 絞り優先Autoで使えるし。 D200ほすぃ

ヨンサンパーロク物語、おしまい












by nakajimaakira1948 | 2005-12-28 19:39 | 43-86mm Ai Nikkor | Trackback | Comments(22)

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