ウィンザー35

2016年3月18日(金曜日)

これは まだ小学校の低学年だったとき ・・・






1
ウィンザー35_b0069128_6472287.jpg

これは何でしょう

Windsorとエンボスされていますねぇ





2
ウィンザー35_b0069128_6493589.jpg

ウィンザー

そうです、ウィンザーです
ロンドン西部のウィンザー城か ウィンザー王家からとった名前でしょう


小学校2年生のときに おばあちゃんに買ってもらった東郷堂製のホビックスJRというおもちゃカメラを
自慢そうに 遠足でも運動会でも どこへでも持って行っていたのです
ところが 同級生の医者の息子が持っていた 絞りとシャッタースピードが変えられるカメラを見て
『欲しい 欲しい 欲しい』と思ったのが このウィンザー35だったのです


東興写真株式会社というメーカーが、1953年頃にコニカI型やII型に負けないで値段は半額以下を目指して作った
35mmレンズシャッターカメラで、その特徴は等倍ファインダーで連動距離計が付いていることでしょう

ブライトフレームが無く どこまでが写る範囲なのかは判らないけれど
赤色補色鏡を使った二重像合致式の等倍ファインダーは
ちょっと青みがかったファインダー像と 赤みがかった二重像の動きも大きく非常に合わせやすいものです


ウィンザー35_b0069128_734367.jpg 
 
 ウィンザーの広告

 1953年頃の広告です

 【写真はインターネットより】



ウィンザーは 軍艦部の小変更が多くて VELEXというシャッターも最速速度が1/200秒のものと1/300秒のものがあります

わたしのウィンザーの軍艦部は、この広告のものと同じで 最初期のものと思われますが良く判りません





3
ウィンザー35_b0069128_7565078.jpg

向かって左側面より

レンズボードというかエプロンの四隅が 少し凹んだデザインになっております

これが わたしが小学生のときなのに 今でも憶えているウィンザー35の特徴だったのです
つぎのウィンザーでは この凹みはなくなってしまいました





4
ウィンザー35_b0069128_805676.jpg

向かって右側面より

仕様を書いてみました

発売:        昭和28年(1953年)4月
形式:        35mmレンズシャッター 二重像合致式距離計連動カメラ
正式名称:      Windsor
ファインダー:    等倍 赤色補色鏡使用 ブライトフレームなし
レンズ:       TKC. C. Color Sygmar 50mm 1:3.5 (3群4枚構成)フィルター径32mm
シャッター:     VELEX B. 1秒-1/200秒 セルフタイマー付き
シャッターレバー:  鏡胴部のレバーによる 別途シャッターレリーズ穴付き
セルフコッキング:  無し チャージレバーによる ただし背面に巻き上げ解除ボタンあり
フィルムカウンター: 手動セット 逆算式
シンクロ接点:    あり ただしM・Xの切り替えは無し
巻き上げ巻き戻し:  ノブ式
スプロケット解除:  底面のノブを回転し引き出すことにより解除
重量:        約775g
価格:        13,500円 ケース1,000円





5
ウィンザー35_b0069128_852212.jpg

レンズ

T.K.C.(東興写真の略号)C. Color Sygmar 50mm 1:3.5 の3群4枚構成が付いています
最短撮影距離は3ft(約90㎝)です
コーティングは この時代の日本製レンズ特有の薄いシアン系のものです

絞り羽根は9枚と多く ほぼ円形を保って絞られて行きます

このレンズ、レンズエレメントの材料はニコンの日本光学製のものを使っているとのことです


レンズは どこが設計してどこで磨いたんでしょう
シャッターのVELEX(B, 1-1/200秒)も どこのシャッターでしょうねぇ

この時代は、大メーカーでないと レンズやシャッターなどは造れなかったのです





6
ウィンザー35_b0069128_882349.jpg

上面より

レンズ部 上から
シャッターチャージレバー(下げてチャージ)
絞り表示リング(指標を直接回転させて合わす)、シンクロ接点が左側に見えています

軍艦部 右から
巻き上げノブ、その下にフィルムカウンター、アクセサリーシュー
ファインダーを越えたところに 巻き戻しノブと いたってシンプルです


シャッターレバーが見えておりませんが、
鏡胴の下部分にあり 左手の人差し指で押し込むようになっております

Windsor と TKC(東興)の 刻印が誇らしげです
Windsorとしか刻印してないけれど ウィンザー35という名称です





7
ウィンザー35_b0069128_8161125.jpg

巻き上げ解除ボタン

フィルムカウンターの下の 裏面のボタンはフィルム巻き上げを解除するボタンです

上の写真は、解除ボタンを押して巻き上げることが出来る状態です

巻き上げノブは、1枚分巻き上げると 自動でストップします
このとき 裏面の巻き上げ解除ボタンが飛び出て来ます
このボタンを押すと また巻き上げができるようになります


これは 1948年のコニカI型で採用された巻き上げ解除ボタンで
セルフコッキングに(巻き上げとシャッターチャージが連動)なっていないカメラでは
1枚のフィルム画面で何回もシャッターを押したり
逆にシャッターを押さないでフィルムを巻き上げたりしてしまいますので
「巻き上げることが出来ない」= 「シャッターは切ったが まだ巻き上げていない」
という状態が直ぐに判るようにしたのです

ただし この方式ではシャッターを切っていないのに巻き上げることは防止できますが
同一画面で何回もシャッターを切ってしまうことは防止できません





8
ウィンザー35_b0069128_820342.jpg

刻印

TKCの刻印です
プリズムと凸レンズの組み合わせの中に TKCと描かれています

誇らしげではありますが 昔のニコンのマークと似ておりますねぇ

PAT. 2610217は 何の特許でしょう
案外コニカI型の 巻き上げ解除ボタンの特許かも知れませんね





9
ウィンザー35_b0069128_8271328.jpg

裏蓋を開けて

フィルムを巻き上げる銀色のスプロケットギアーが目立ちます
このスプロケットギアーの回転から フィルムの巻き上げ完了を感知して
巻き上げ解除ボタンを飛び出させて巻き上げをストップさせます

フィルムを入れないとスプロケットギアーは回転しませんので
巻き上げ解除ボタンも作動せず 巻き上げノブは何回でも回転します

フィルム圧板は なんと鏡面仕上げです
このウィンザーの次の機種から 鏡面仕上げは黒く塗られたそうです

フィルム室の塗りは いわゆる結晶塗り(ハンマートーン)で高級感があります





10
ウィンザー35_b0069128_8324399.jpg

革ケース

古いながら 立派な革ケースです

ウィンザーには 吊環(ネックストラップのためのアイレット)がありません
外に連れ出すときには この革ケースが必須になります





11
ウィンザー35_b0069128_8342638.jpg

ウィンザーを眺めながら

このウィンザーを眺めながら考えました

・革ケースの古さ具合から このウィンザーはだいぶ使い込まれている
・前オーナーは オークションにジャンク品で出品したが 立派な完動品であることを知らなかったのでしょう
 前オーナーは 巻き上げノブが何回でも回るし きっと壊れていると思ったのでしょう
・ウィンザーを長らく使った人は 前オーナーではなくもっと古い人だったのでしょう
 たとえば 親父さんとか お爺さんとか または赤の他人だったとか


***********************************
 ■ 2016年3月16日 撮る
 ■ AF 28-105mm on Nikon D700
 ■ AF Micro 60mm F2.8 on Nikon D700

***********************************

むかし 小学校の同級生が持っていて 欲しくてたまらなかったウィンザーを
ヤフーオークションで1000円で入手しました
ウィンザーを触っていると 忘れていたむかしのことを思い出し感無量です

大事にしたいと思います




【追記】2016年4月23日

アローカメラさんのホームページで ウィンザー35の使用説明書の写真などを入手しました



             カラーシグマーレンズ -1
ウィンザー35_b0069128_09314028.jpg
 



            カラーシグマーレンズ -2
ウィンザー35_b0069128_09315913.jpg




            カメラ使用説明書 ABC 表紙
ウィンザー35_b0069128_09321554.jpg




                  使用説明書 A
ウィンザー35_b0069128_09323978.jpg



使用説明書 B
ウィンザー35_b0069128_09324519.jpg



使用説明書 C
ウィンザー35_b0069128_09325520.jpg




 以下を修正しました

・機種名 ウィンザーを ウィンザー35に修正
・発売年 1954年を 1953年に修正
・仕様  その他 4枚目の仕様に追記をしています


 ますます ウィンザーが好きになりました ♪♪♪












Commented by g_voyageur at 2016-03-18 14:43
高級品を合理化したウインザー。
そのキャッチコピーも素敵ですね!
Commented by nakajimaakira1948 at 2016-03-18 18:14
voyageur さん、こんばんは!

はいっ、高級品の合理化の意味は
手ごろな価格で 「ニッコールと同じ材料のレンズを味わえる」の意味でしょう。

広告にあるように 14,000円は 2年まえのコニカII型の35,000円に比べると CPは最高ですねぇ。

Commented by 想桜 at 2016-03-19 00:42 x
こんばんは。

思い出のカメラだったのですね。
私も持ってますよ~(笑)
私のもエプロンの四隅が凹んだ初期型です。
蛇腹のスプリングカメラが金属製のライカ版になっていった、という移行途中のカメラですね。
メッキピカピカの圧判が時代を感じさせますよね。
Commented by nakajimaakira1948 at 2016-03-19 08:01
想桜さん、おはようございます!

「このカメラ、お父さんのんやろぉ」
「ちゃう、お父さんから貰ろたんや」
小学校のときの会話を 走馬燈の様に思い出しました。

まだアルファベットは読めず ウィンザーとは知らなかったんですが
高速シャッターを試させてもらったのと エプロン四隅の凹みが記憶にあります。

撮り終わったあと Rボタンが無いでしょ。
ボディ底面の Oボタンを回して、巻き上げ解除ボタンを押しながら 巻き戻しノブを回します。

鏡面仕上げのフィルム圧板、巻き戻しの方法など 35mm判初期の香りがプンプンする写真機です。
大事にします。

Commented by Hare1976 at 2016-03-22 22:21
nakajimaさん 初めまして。

以前からブログ拝見しておりました、初コメお許しください。

ご紹介される古いレンズ・カメラはみんな本当にかっこいいですね。

私の思い出のカメラはminolta new SR7です。
ですので、nakajimaさんとほぼ同年代だと思います。

高校の頃 初恋、片思いの同級生を撮る為に買ったのでした。
その古いレンズを今α7に着けると昔の思い出がよみがえります。
Commented by nakajimaakira1948 at 2016-03-23 10:55
Hare1976 さん、はじめまして & おはようございます!

ブログを見ていただいて ありがとうございます。
このブログは、わんこ連れカメラ散歩が主で ときどき古カメラ・古レンズを紹介しております。

わたしの思い出のカメラは newより数年前の minolta SR-1 ですが
親父に買ってもらったのが中学2年生の冬でしたので Hareさんとはまさに同年代ですねぇ。

高校に入って、SR-1で 運動会の日に綺麗な同級生を撮った思い出があります。
フィルムの整理が悪く(段ボール箱に入れっぱなし)て なかなか出てきません。

わたしの好きなカメラは 1970年ぐらいまでの金属製カメラとそのレンズです。
Hareさんと同様に、α7に付けて 写るだけで喜んでおります。

また ときどき覗いてやってくださいね。

Commented by にふかれって at 2021-01-18 23:38 x
初めまして。
たまたま、このカメラを検索していてたどり着きました。
私の初めて使ったカメラです。父から借りて遠足に持っていったのが初撮りでした。
今でも手元に残してあります。
シャッターレバーの形状からして初期型みたいですね。
私の物と同じです。
今になると、意外とこの初期型には、出会えないです。
見掛けるのは、中期や後期のものばかりでした。
Commented by nakajimaakira1948 at 2023-08-25 15:32
にふかれって さん、はじめまして & こんにちは!

すみません、記事を2年ぶりに読みかえしていて
にふかれってさんのコメントに気付きました。

はいっ、初期型だと思いますが 良くわかりません。
と言うのは 最初期型だと思われる アクセサリーシューの無い型もあるようです。

わたしが初めて触った高級機になります。
大事にしています。

名前
URL
削除用パスワード
by nakajimaakira1948 | 2016-03-18 08:44 | 60mmF2.8D AF Micro | Trackback | Comments(8)

気楽な写真のブログです。 どの写真も jpegで撮ってリタッチなしです。 写真はクリックで大きくなります。 リンクやコメントも ご自由になさってくださいね。


by Akira Nakajima
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31