トプコン物語
2018年 10月 31日
トプコンのカメラ 大好きなんです。
本当は タイトルを「トプコン倶楽部」と したかったんですが
「トプコンクラブ」という有名なサイトが既にありますので トプコン物語としました。
手持ちの トプコン(東京光学機械)の 一眼レフを 年代順に紹介して行きます。
1
Topcon R
1957年、日本国産の 35mmペンタプリズム付き一眼レフとしては
ミランダ T 、アサヒペンタックス AP に続いて 3番目に登場した トプコン R です
シャッター速度 B、1秒~1/1000秒 を持ち ファインダー交換可能な 素晴らしい一眼レフでした
今の眼で見ると 1軸回転型2段式シャッターダイアルなど 見劣りする点があるかも知れませんが
とにかく大きく頑丈で アサヒカメラのニューフェイス診断室で「軍用カメラ」と 評価されました
レンズには 半自動の絞り開放レバー付きの オート トプコール 58mmF1.8 が付き
その写りも素晴らしいものでした
仕様
概要: 1957年 東京光学初の 35mmフォーカルプレーン式一眼レフ
マウント: エキザクタマウント
シャッター: 布幕横走り B. 1~1/1000秒 ボディ前面水平押し
ファインダー: ペンタプリズム と ウェストレベル交換可能
ミラー: ウィンクミラー(東京光学では クイックリターンミラーを こう呼びました)
寸法: 実測 横幅 約160mm
重量: 実測 765g
発売時価格: 56,000円(58mmF1.8付き)
【注-1】写真には 1963年の RE オート トプコール F1.8 が付いています
【注-2】この トプコン R のボディは 2020年5月3日に入手しました
2
TOPCON PR
1959年の トプコンPR です
日本で一番早く レンズシャッター式35mm一眼レフを造ったのは
この トプコンPR ではなくて 1954年の常盤精機製のファーストフレックスでした
ファーストフレックスは立派なカメラでしたが ペンタプリズムを使わずポロミラーだったのと
製作数が少ないので ファーストフレックスを日本最初のレンズシャッター一眼レフとせずに
このトプコンPRを 最初のレンズシャッター式一眼レフとする方も多いようです
ゴタクは さておいて トプコンPR の仕様を見て行きましょう
仕様
概要: 1959年 東京光学製 ペンタプリズム使用の 35mmレンズシャッター式一眼レフ
レンズ: トプコール 50mm F2.8 3群4枚 が 固定装着
コーティング: シアン系(薄青色)と マゼンタ系(薄紫色)の 単層膜コーティング
シャッター: シチズン MV B, 1~1/500秒 セルフタイマー付き
絞り: プリセット絞り 絞り羽根 8枚
ミラー: 非クイックリターン 巻き上げで復帰する
大きさ・重量: 130 x 81 x 71mm 620g
発売時価格: 本体 16,500円 ケース 1,300円
まだ クイックリターンミラーになっておらず シャッターを切ったあとは
ファインダーが真っ暗になりますが とても小さくて可愛いカメラです
わたしのトプコンPRは 2台目で、最初のPRは 買って8日目に故障してしまいました
作動時のシーケンスが複雑なレンズシャッター式一眼レフは 故障しやすいようです
3
Topcon Winkmirror S
1963年に発表された レンズシャッター式 35mm一眼レフの トプコンウィンクミラー S です
この トプコンウィンクミラー S から 交換レンズを全群交換できるようになったのです
ペンタ部全面の 角ばったセレンメーターが美しいカメラです
このカメラのマウントは レンズシャッター機の終焉のトプコン ユニレックスまで使われた
UVトプコール マウントです
仕様
概要: 1963年 東京光学製 レンズ全群交換式 35mmレンズシャッター式一眼レフ
マウント: UVトプコール マウント
レンズ: トプコール 53mm F2 4群6枚
コーティング: マゼンタ系(薄紫色)主体 シアン系(薄青色)の 単層膜コーティング
シャッター: セイコーシャ SLV B, 1~1/500秒 セルフタイマー付き
絞り: 完全自動絞り
ミラー: クイックリターンミラー
大きさ・重量: 136 x 92 x 84mm 830g
発売時価格: 本体 23,800円 ケース 1,500円
(注)2020年2月21日 トプコンウィンクミラー S を 追加しました
4
TOPCON RE Super
1963年に造られた 世界初のTTL(Through The Lens)露出計内蔵の フォーカルプレーン式一眼レフです
露出計は 東芝の協力で造られた ミラーにスリットを切り込みミラー裏側のCdSで測定するもので
どれだけ適正露出からずれているか 一目で判る優れたものです
また レンズ取り付け時にレンズに連動するレバーを設け 開放測光を達成しております
写真のレンズは RE Super から採用された RE Auto Topcor 58mmF1,4 で
多くのプロフェッショナルから ニッコールを凌ぐ素晴らしいレンズと称賛をあびました
仕様
概要: 1963年 世界初TTL露出計内蔵 35mmフォーカルプレーン式一眼レフ
マウント: エキザクタマウント
シャッター: 布幕横走り B. 1~1/1000秒 ボディ前面水平押し
ファインダー: ペンタプリズム と ウェストレベル交換可能
露出計; CdS使用 ミラーメーター
大きさ・重量: 146 x 98mm 928g
発売時価格: 60,500円(58mmF1.4付き)
この RE Super は 1983年に大阪駅の八百富で新品同様を購入しました
レンズの前玉に 熊手で引っかいたような傷のある REトプコール 58mmF1.8 が 付いていました
抜群にシャープな写真が撮れましたが レンズの傷がどうしても気になり
米国の Woodmereカメラから 写真の REトプコール 58mmF1.4 を 個人輸入したのです
5
TOPCON Uni
1964年の トプコン ユニ です
東京光学社内でも、レンズシャッター式一眼レフに ミラーメーターを内蔵するのは「やり過ぎ」の意見があったのですが
とにかく REスーパーで確立したミラーメーターによるTTL露出計を使って
世界初の 自動露出レンズシャッター一眼レフとなった トプコン ユニ です
仕様
概要: 1964年 世界初の EE(自動露出)レンズシャッター式一眼レフ
マウント: UVトプコール マウント
シャッター: セイコーSLV B, 1~1/500秒 セルフタイマー付き 全面垂直押し
ミラー: クイックリターン CdS使用ミラーメーター
大きさ・重量: 134 x 93 x 84mm 845g(標準53mmF2付き)
発売時価格: 26,800円(標準53mmF2付き) 2,000円(ケース)
UVトプコールの名称は レンズエレメントの張り合わせのバルサムに
紫外線吸収の材料を使っていることより命名され 好評をはくしました
UVトプコールマウントは レンズシャッターをビハインド式に取り付けた小口径のもので
交換レンズの前玉は 後玉が小さい分 大きくなっています
6
TOPCON RE-2
1965年の トプコンRE-2 です
フォーカルプレーンに 金属製縦走り膜の コパルスクエアーS を使い 耐久性を増したカメラです
シャッターボタンは、R、RE Super と続いたボディ前面水平押しから 軍艦部垂直押しになりました
ミラーメーター使用のTTL露出計内蔵は変わらず REスーパー、ユニと この RE-2で
ミラーメーター三羽烏と呼ばれました
仕様
概要: 1965年 コパルスクエアS使用の TTL35mm一眼レフ
マウント: エキザクタマウント
シャッター: コパルスクエアーS B, 1~1/1000秒
ファインダー: アイレベル固定
露出計: CdS使用ミラーメーター
発売時価格: 39,800円(58mmF1.8付き)2,000円(ケース)
7
TOPCON Unirex
1969年の トプコン ユニレックス です
この ユニレックスが レンズシャッター式一眼レフの 実質的な最終機となります
ユニレックスは ミラーメーターでのスポット測光と ペンタプリズム部での平均測光の切り替えが出来る
高級EE一眼レフでした
仕様
概要: 1969年 スポット・平均測光切り替え可能な レンズシャッター式一眼レフ
マウント: UVトプコールマウント
シャッター: セイコーシャSLV B, 1~1/500秒
露出計: ミラーメーターによるスポット測光と ペンタプリズム部での平均測光 切り替え可能
寸法・重量: 130 x 90.5 x 87mm 810g
発売時価格: 33,500円(標準50mmF2付き) ケース 2,000円
東京光学が なぜレンズシャッター式一眼レフを止めたかというと
セイコーシャ(精工舎)からの レンズシャッターの再三の値上げあったようで
上級機である フォーカルプレーンシャッター式のトプコンRE-2との 価格差がなくなり
レンズシャッター一眼レフ機の 安価であるというメリットが無くなってきたからでした
8
TOPCON Unirex Black
1969年の ユニレックスの黒仕上げです
仕様は ユニレックスと何も変わりません
ユニレックスの白ボディには レンズもシルヴァー仕上げで真っ白の UVトプコール50mmF2 が
ユニレックスの黒ボディには 全身が真っ黒の同じレンズが付きます
9
TOPCON T
1971年の トプコンT です
しかし このトプコンT は 通常のトプコンT ではないのです
トプコンTは、1971年に 東京光学の米国代理店のベセラー商会からの依頼で REスーパーをベースに造った
電話使用頻度メーターだけを撮る専用機で ファインダーは無く シャッター速度も1/60秒の 1速度でした
写真の様に 通常のトプコンTには ファインダーはありません
頻度メーターに直に取り付けるので ファインダーは不要なのです
ボディ前面のシャッターボタンも 直に取り付けても押せるように鉄板を折り曲げて 作ってあります
【写真はインターネットより】
もう一枚 通常のトプコンTを貼り付けておきます
鉄板を押すと ボディ前面のシャッターボタンを押すことになるのです
これが 通常のトプコンTの姿です
【写真はインターネットより】
ところが、わたしのトプコンTには ウェストレベルファインダーが付いており
シャッター速度も B, 1~1/1000秒まであるのです
このトプコンTは REスーパーの後期型に ウェストレベルファインダーを付けたものに
TOPCON T と 刻印しただけのように見えます
しかし わたしのトプコンT は
1. 背面のシリアルナンバーが 71T0136 と 1971年製のトプコンT のナンバーである
2. REスーパーのファインダーは交換可能だが わたしのはウェストレベルが固定装着されている
3. シャッター速度ダイアルの 指標が無い
4. 特別なT型か T型の試作品かとも思われるが 通常のトプコンTよりシリアルナンバーが新しい
このトプコンT は 東京青山の明治美術という骨董店から入手しましたが
『故人になったコレクターから譲ってもらった』ので 経緯(いきさつ)は 判らないとのことでした
10
撮影状態の トプコンT
こうして見ると トプコンREスーパーに通常のウェストレベルファインダーを付けているように見えます
が、ウェストレベルファインダーが固定になっています
ボディとファインダーが 固着しているのかと、すきまに CRC5-56を吹き込んでみましたがだめです
インターネットで調べても 出て来るのは通常のトプコンT ばかりで
やはり わたしのトプコンT は 謎のカメラであります
写真では 1948年のカールツァイスの テッサー50mmF3.5 を 付けています
11
RE Auto Topcor 200mmF5.6
実は、謎のトプコンTには REオート トプコール 200mmF5.6 が 付いた状態で入手しました
そして その鏡胴には、JAMES R. MATTSON と 以前の所有者の刻印があります
きれいに刻印されているので 素人の作業とは思えません
この人が「故人になったコレクター」でしょうか
Flickr ででも「この人知りませんか?」 と 尋ねてみようかと思っています
12
ブタ小屋から
ブタ小屋と呼ばれている 3階のわたしの部屋から
REオートトプコール 200mmF5.6 を ソニー α7 II に付けて 絞り開放で撮ってみました
ピントは「かいせい保育園」の 文字だったかなぁ
1965年に発売された REオートトプコール 200mmF5.6 、ええコントラストしてる ♪♪♪
13
記念写真
REオートトプコール135mmF3.5 と 新参の REオートトプコール200mmF5.6 の 記念写真を撮りました
やっぱり レンズは白がええです
おわり
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■ 2018年10月29日&30日 撮る
■ 1 & 3枚目 AF Micro 60mm F2.8D on Nikon D700
■ 2~11枚目 AF Nikkor 28-105mm on Nikon D700
■ 12枚目 RE Auto Topcor 200mmF5.6 on Sony α7 II
■ 13枚目 FE 28-70mm on Sony α7 II
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トプコンのカメラは なんでも大好きです
トプコールレンズは どれも良く写ります
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トプコン愛に満ち溢れたページですね。 読んでいると、私の思い込んでいた技術進歩の歴史より、トプコンは5年位早く技術を開拓していた感じがします。 未だ普通のセレン露出計のカメラが店に並んでいた時代に、既にCdsを使っていたという感じなんです。 後から掘り出せば、こっちがもっと早いなんてことはあるかも知れませんが、当時の元気なメーカーの姿が思い浮かびます。 鉄腕アトムがTV放送され始めた頃ですね。
REオートトプコール200mm の「刻印」ですが、向きがレンズの他の指標文字と逆ですね。 これは、プレゼントとか、ユーザーの誇らしさで、後から彫ったものではないでしょうか。 面白いなあと思って検索して見たら、現在の技術で刻印している動画のあるページが出て来ました。
https://www.lomography.jp/magazine/254601-a-behind-the-scenes-look-at-the-petzval-engraving-process-jp
文字型を叩いて彫る刻印はレンズには使えないから、昔も尖ったルーターの付いた専用機械で彫ったと思うのですが、どこでどんな風に彫ったのか知りたくなります。
はいっ、記事の最後に書きましたが トプコンのカメラとトプコールレンズ 大好きなんです。
特に トプコンの一眼レフが好きです。
フォーカルプレーン式でも レンズシャッター式でも ガッチャンと大きな音をたててシャッターが切れます。
トプコンの最盛期のカメラは 殆んどが世界初とか日本で最初とかの機構が付いていたように思います。
USネイビーにも 多くのトプコンカメラが採用されて 耐久性のあるカメラの証(あかし)でしたね。
レンズにネームを入れるのは キヤノンなんかもやっているようですね。
LOMOの ペッツバールレンズは、描写は感心しませんが 真鍮製鏡胴にエングレーブされた文字を見ると
本当に欲しくなってしまいます。
高校の時、アルバイトで貯めたお金で買ったのが「トプコン ユニ」でした。
当時、キヤノンやニコンは知っていましたがトプコンは知りませんでした。トプコン以外は買えなかったのです。
シャッターが前面に付いていたのが珍しかったです。
トプコンが東京光学であると知ったのは、会社に入ってから使っていた工具顕微鏡にトプコンの銘板を見つけた時でした。
トプコールレンズはコシナから復刻版として出た「オートトプコール1.4/58mm」をPENTAXにM42アダプターを介して使っています。(最近は使っていませんが・・・)
謎と言えば、私もSAMPLEという刻印の入ったRE200を持ってます。
TESTという刻印の入った機種もあるみたいです。後半はOEMで作っていたカメラもレンズもありましたからなかなか面白いメーカーです。
先日、綺麗だけど動かないウィンクミラーとフィルムカウンターが無いR(こちらも動かない)を骨董市で入手しました。Rの方についていたオートトプコール58/1.8はガタガタで整備したいところですが、イモネジが錆で2本回らず、ねじ山も錆で崩壊しているので外観の清掃のみでストップしています。2台とその他諸々で2千円なのでまぁいい買い物だったかな?と思っています。
そうですか、アルバイトでトプコン ユニを買ったんですか。
あの当時は レンズシャッター式一眼レフは フォーカルプレーン式一眼レフより大分安かったんです。
しかし 数年のうちにレンズシャッターそのものがメーカーの都合で値上がりし
東京光学は、最後まで競争した興和ともども レンズシャッター式一眼レフから撤退します。
REオートトプコール58mmF1.4は 非常に評判の良いレンズでしたね。
コシナが 現代風にアレンジして復刻したのも うなずけます。
現在も トプコンは 産業用光学機器の雄として生き残っております。
トプコンに幸あれ です。
そうですねぇ、キヤノンや日本光学と比べて会社の規模が小さかった東京光学は
試作品やサンプル品を 社内の希望者に有償でわけてあげたと読んだことがあります。
わたしのトプコンT も、ひょっとしたらその試作品かサンプル品ではないかと思います。
骨董市で ウィンクミラー と R ですか。ええですねぇ。
修理技術のある想桜さんなら きっと往年の完動品状態にできるでしょう。
がんばって修理して、ブログにアップされるのを 楽しみに待っております。
済みません、長い間コメントを返さなくて。
カメラ名を教えてください。
トプコンのカメラは レンズが非常に人気がありますので
カメラにもよりますが だいたい希望する価格で買い取りしてくれるのではないでしょうか。