ヘリコイドに注射
2019年 02月 24日
マニュアルフォーカスのレンズで撮影していて 一番いやなことは
ヘリコイドのグリースが固まって来ていて フォーカスリングが固くてどうしようもないときです
古いニッコールレンズは 使われていたグリースが悪かったのか最悪ですね
フォーカスリングを回すと グリースが全然効かずに スカスカと抵抗なく回転するかと思えば
グリースが固まりかけているのか フォーカスリングの回転が非常に固いものも多いです
ニコンのために言っておきますが、50年から30年前までの話しで 最近のニッコールでは改善されていて
フォーカスリングは ねっとりと 具合良く回転します
東独のカールツァイス・イエナのレンズでは 白鏡胴のものに フォーカスリングの固いものが多いです
そんなとき ヘリコイドに注射すると良く効きます
1

注射器
ヘリコイドには 潤滑油を微量 注射器で注射します
潤滑油を買うと みんなノズルが付いていて 注射器なんか要らんと思われるでしょうけれど
レンズを分解せずに マウント側から見えるヘリコイドに潤滑油を垂らす わたしの方法では
付いているノズルはみんな 太すぎて使えないのです
それで 注射器を買いました
人体など医療用には使えないと思われる プラスティック製のものですが、3本セットでアマゾンで460円でした
マウント側から潤滑油を微量注射して フォーカスリングを数回から十数回 回転させます
回すことで、固くなったグリースと潤滑油が混ざり合うのです
固かったフォーカスリングが 柔らかく滑らかに回転するようになると 気分は最高です
写真は、固かったフォーカスリングが ヘリコイドへの潤滑油の注射で軽く回る様になって喜んでいる
(右) ビオター58mm F2、(中) マクロキラー D 40mm F2.8、(左)AiS マイクロニッコール 55mm F2.8 と
新しく買った注射器です
2

Kilfitt Makrokilar D 40mm F2.8
キルフィットの マクロキラー D 40mmF2.8 です
60歳以上のレンズですが 最近になってヘリコイドの回転が とても重くなってきました
まず フォーカスリングを最短撮影距離まで回して ヘリコイドが一番良く見える状態にします
このレンズは 名前のように マクロレンズで ヘリコイドは二つあります
写真の 暗く写っている部分にちょっと見えているのが 第一ヘリコイドで
少し下の 後玉の右側に少し見えているのが 第二ヘリコイドです
注射器の針をヘリコイドに当てて 少しずつ潤滑油を落とします
フォーカスリングを回転させ ヘリコイド全体に潤滑油が行き渡るように注射します
落とす量は微量で 全部で 0.1~0.2cc 程度です
注射が終わったら、レンズをカメラボディやマウントアダプターに取り付けて フォーカスリングを回してみます
レンズをボディやマウントアダプターに付けてから回すのは
レンズ鏡胴だけを持ってフォーカスリングを回すと 実際よりも重く(固く)感じるからです
マクロキラー D 40mmF2.8 、潤滑油が効いて フォーカスリングが 非常に軽く滑らかに回転するようになりました
3

Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2
旧東独 カールツァス・イエナの ビオター 58mmF2 です
何十年かむかし ニューヨークの Woodmere から個人輸入したときから フォーカスリングの回転は重かったです
それが だんだん重いのが固くなってきて なんとかせねばと思っておりました
最短撮影距離にしたところです
普通のレンズは マウント面から見ても ヘリコイドはこの程度ぐらいしか見えません
最上部の ネジ状のところがヘリコイドです
このヘリコイドには 0.1cc だけ 潤滑油を注射しました
結果は フォーカスリングが 軽く滑らかに回転するようになりました
4

Hexanon 35mm F2.8
1965年 小西六が ヘキサノンAR マウントになったときのレンズです
まだ レンズには AR とは書かれていません
ねっとりした フォーカスリングの回転が自慢のヘキサノンには珍しく
このレンズ ピント合わせに汗をかくほど フォーカスリングが重いのでした
日本製のレンズは 大体ヘリコイドが 殆ど見えません
上部の やや黄色くなっているところの内側の黒く写っている隙間から ヘリコイドが少し見えるのですが
この写真では見えませんね
この隙間を通して 注射器の針を入れ込んで 潤滑油を数滴だけ落とすのです
アル中ではないのですが 手が震えて なかなか針がうまく入りません
なんとか注射が終わって マウントアダプターに付けて フォーカスリングを グリグリグリグリ
潤滑油と固くなりかけているグリースが混ざりました
軽~くなりました うれしいです
5

恐ろしいものを持ってるね
ミミちゃん 「なんか 恐ろしいものを持ってるね。なにしてますねん?」
わたし 「ちょっと調子の悪いレンズに 注射や」
*********************************************************
■ 2019年2月24日 撮る
■ 1~4枚目 Canon zoom lens 7.4-44.4mm on Canon PowerShot 7
■ 5枚目 1-Nikkor 18.5mm F1.8 on Nikon V1
*********************************************************
潤滑油の注射で フォーカスリングが軽くなったレンズたちです
・キルフィット マクロキラー D 40mm F2.8
・カールツァイス・イエナ ビオター 58mm F2
・コニカ ヘキサノン 35mm F2.8
・AiS マイクロニッコール 55mm F2.8(下記の【注記】を参照願います)
・カールツァイス・イエナ トリオター 135mm F4
・ニコン レンズシリーズ E 35mm F2.5
・メイヤー光学 プリマゴン 35mm F4.5
なお 潤滑油は「クリンビュー 601」を 使いました、480cc 入り 400円程度です
注意点としては、潤滑油をほんの微量にすること・・・目的はグリースと混ぜて柔らかくすることです
フォーカスリングが スカスカに軽いレンズには
粘度の高いオイルか 暖めて柔らかくしたグリースでも 注射してみようかと考えているところです
【注意】2020年11月28日
上記のレンズ群のうちの AiS マイクロニッコール 55mm F2.8 は
ヘリコイドに注射して数日後に 絞り羽根に潤滑油が回っているのが発見されました
第1ヘリコイドから潤滑油が回り込んだのか 第2ヘリコイドから回ったのかは分かりませんが
とにかく絞り羽根に潤滑油が回り込みますので このレンズは注射はしないほうが良いです
わたしは マウントアダプターを使って 自動絞りは使いませんので別に良いのですが
ニコンのボディでは 高速シャッター時に 油羽根のために絞りの作動が遅れてしまいます
その他のレンズについては、注射して2年近くになりますが 潤滑油が絞り羽根に回ることはなく
フォーカスリングは 軽く回転し続けています
-

Nikkor 105mm F2.5 を マウント側から覗いてみました。
フォーカスリングを最短撮影距離側に回すと 下がって行くリングがありますね。
そのリングの外側に マウント側からはめ込まれたツバ状のリングがあります。
両リングのわずかな隙間からしか 注射はできないと思います。
普通のニッコールには マウント側からはめ込まれたツバ状のリングはないので
ヘリコイドが見えるのですが 105mmF2.5ではヘリコイドが見えません。
わたしなら見えなくても そこから注射しますが
ひょっとして マイクロニッコール55mmF2.8のように 絞り羽根に潤滑油がまわるかもしれませんので
注射はお薦めできません。

トラスコ リチウム万能グリス#2を注射しようと道具を揃えています
やはり日本製のレンズは最短撮影距離でもマウント側から隙間があまり見えず、見えた隙間に垂らすように注射して良いものかと迷っています…
隙間に注射しても、ヘリコイドに届きますか??
ニッコール50mmF1.4 は、わたしも2本持っておりますが ヘリコイドはどちらも軽いです。
記事に赤文字で書いていますが マイクロニッコール 55mmF2.8は 潤滑油が絞り羽根にまわりました。
個人的には 固いよりもスカスカのほうが まだ使いやすいと思います。
スカスカのレンズにグリスを注射して 改善できるかは。まだやったことがないので
なんとも言えません。
もし 絞り羽根にグリスがまわる危険をおかしてでも 注射する気持ちがあるのなら
やってみてください。
Auto-S 50mmF1.4 を 最短撮影距離の60cmまで繰り出して
最も外側にに見えるヘリコイドのねじ部に注射してみてください。
うまくいかなくても 恨まないでくだいね。

早速のコメントありがとうございます!
50mm f1.4DをZ5で使おうとした時にあまりにMFが使いづらく、MF専用設計ならフォーカスしやすいのではと考えたのが、今回の購入のきっかけでした
使い勝手は向上したものの、ヌルヌル動くと思ったらスカスカだったので、どうにかしたいと思った次第でございます
スカスカの方がまだ良いということで、しばらく様子を見てみます(事故がこわい)
当方Z5とD70で楽しんでいますが、コーティングの関係か、Auto-sの方がどちらで撮った写真も描写が柔らかく好みでした
あまり役に立たないコメントで ごめんなさい。
AiAF 50mm F1.4Dは わたしも持っていますが、AFを速くするためか
ヘリコイドの回転角度が小さくて MFでは使いにくいですねぇ。写りは素晴らしいのですが。
もし Auto-S 50mmF1.4 に グリースを注射される場合は
グリースの加熱など ややこしい作業になろうかと思いますので
決して 一杯やった後のほろ酔い気分でなさらないように (^^)
