サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し

2020年8月

皆さま、サン光機はご存じでしょうか

そうです、上代(かじろ)光学研究所 → サン光機 → サンレンズ → ゴトー(後藤)サン と
会社名を変えたすえに 1984年に倒産してしまった、あのズームの サン光機です


ここに 1本のズームレンズがあります






サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_14422432.jpg



Sun System Zoom 85-210mm F4.8

名称を サン システムズーム 85-210mm F4.8 と言います

白く輝く鏡胴が美しいでしょ


仕様を書いてみましょう

概要:     1968-73年頃 サン光機製 望遠ズーム
正式名称:   Sun System Zoom 85-210mm F4.8
マウント:   サン システムマウント(ニコン・キヤノン・M42・ミノルタSR 交換式)
焦点距離:   85~210mm
明るさ:    F4.5~F22
レンズ構成:  8群13枚
最短撮影距離: 250cm
絞り機構:   完全自動絞り、A/M 切り替えレバー付き
絞り羽根:   6枚
コーティング: アンバー系(だいだい色)主体、シアン系(青色)1面の 単層膜コーティング
フィルター径: φ55mm
その他:    フード組み込み、回転式三脚座付き
重量:     実測 866g





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_14483589.jpg

Sun System Zoom 85-210mm F4.8 on Canon FX

1964年の キヤノンFX に付けてみました
なかなか恰好が良いでしょ

このレンズが造られたのは 1968年以降1973年までのあいだです
なぜ製造年が判るの?

1967年のカメラ総合カタログには、先代の Sun Hi-Tele Zoom 85-210mm F4.8 がありました

サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_15025309.jpg

これが Sun Hi-Tele Zoom 85-210mm F4.8 です
【1967年のカメラ総合カタログより】

そして、1973年のカメラ総合カタログでは、85-210mmのズームは もう無くなっていたのです


製造年は判ったが それがどうしたと言うのか





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_15091872.jpg

この サン システムズーム 85-210mm F4.8 は トプコン(東京光学)の設計のレンズの子孫なのです
東京光学で たった2本だけ設計された エキザクタマウントの最初のでズームレンズでありました


写真は「トプコンクラブ」に出ている 1969年発売の RE Zoom Auto Topcor 87-205mm F4.7 です
Sun Hi-Tele Zoom 85-210mm F4.8 が 1967年発売ですから 東京光学は自社設計のレンズを
サン光機よりも 2年遅れて発売したわけです


黒いレンズでは 判りにくいですね、eBay の出品写真から 白鏡胴をお見せします
サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_23201721.jpg
これならわかりますでしょ、わたしの サン システムズーム 85-210mm F4.8 と 瓜ふたつでしょ


もう1枚
サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_23204250.jpg
RE トプコール らしい姿ですね





東京光学が自社で造らなかった、その理由は

サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_15141400.jpg

あの素晴らしいレンズを連発した東京光学も ズームレンズの製造は苦手だったようで
サン光機に RE Zoom Auto Topcor 87-205mm F4.7 を造ってもらったわけです

サン光機は 85-210mm F4.8 で 東京光学は 87-205mm F4.7 と
僅かに異なる焦点距離や明るさは JIS規格では許される誤差範囲内であったのです

この 東京光学の RE Zoom Auto Topcor 87-205mm F4.7 が サン光機製であるという話しは
レンズの好事家には けっこう有名な話しであります

2020年の現在、東京光学製のすべてのレンズが 発売時価格よりも高騰して流通しいるのですが
RE Zoom Auto Topcor 87-205mm F4.7 だけは 発売価格よりも安価であるらしいです

サン光機ブランドの Sun Hi-Tele 85-210mm F4 が 1967年に 22,610円
東京光学ブランドの RE Zoom Auto Topcor 87-205mm F4.7 は 1973年に 62,700円でした

サン光機の Hi-Tele は プリセット絞りで、東京光学ブランドは完全自動絞りの差はありましたが
3倍近くの価格差は なんともサン光機が可哀そう過ぎますね



また 東京光学は ペトリにも この 87-205mm F4.7 の設計書を売っていたのか
同じ1967年のカメラ総合カタログでは ペトリも同様焦点距離のズームレンズを発表していました

サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_12474566.jpg

ペトリ製は 焦点距離や明るさは サン ハイテレズームと同じですが
レンズ構成は 9群13枚と変わり、外観もだいぶ変えておりましたね
定価は サン製よりも高くなっていました



ところで、Sun System Zoom 85-210mm F4.5 は 最近ヤフーオークションで落札したのですが
なんと開始価格が 90円で 即決価格が 120円の超安値でした、もちろん即決でゲットです


サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_16055609.jpg

オーナーの説明では チリや薄クモリはあるがカビは無しという事でした
届いたレンズは チリや薄クモリなどは無く ちょっと組み込みフードに擦れ傷があるだけで新品同様でした


ごちゃごちゃゴタクを述べましたが、東京光学設計の ズームレンズ 87-205mm F4.7 の子孫の
サン システムズーム 85-210mm F4.8 を ソニー α7 II に付けた 絞り開放写真に行ってみましょう





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歪曲収差テスト 85mm

焦点距離85mmでは 歪曲収差は認められません





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08431826.jpg

歪曲収差テスト 210mm

焦点距離210mmでは 周辺にわずか糸巻き型の歪曲収差があります

これは 前回テストした タムロン ズームマクロ 85-210mm F4.5 と同じです
標準域をはさんで 広角域~望遠域のズームレンズでは こうは行きませんです





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08432321.jpg

おひさまっこ保育園

85mmで撮りましたが 良い写りだと思います





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08432936.jpg

夜景

さすがに、東京光学設計のレンズでも 夜景はいただけません

解像感がなく 光源のニジミも出ています
単層膜コーティングだけの ズームレンズの限界のようです





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08433472.jpg

三角タワー

解像はしておりますが
拡大して見ますと 手前の煙突の先端に偽色が出ています

EDレンズが使えなかった時代のレンズです





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08433905.jpg



早朝の三角タワー

同じ三角タワーを 早朝に撮ってみました

露出補正マイナス2/3段で 美しく撮れましたよ





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08434318.jpg

KTVバス

KTVの文にピントを合わせましたが いまいちですね





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08434743.jpg

すべり台

朝の散歩です

この Sun System Zoom 85-210mm F4.8 は
立派な三脚座が付いており 900g近く重いです

首から下げると重いし、ストラップは首にかけていますが 手に持ってパチリパチリ





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08435221.jpg

7時45分

この時刻は まだ地獄の暑さではありません





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08440922.jpg

ダクト

いやにクッキリと撮れています

空も コダックブルーも顔負けの美しい紺青ですね





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08441379.jpg

草むら

いつもの「さかなとり」が 草むらに埋まりそうでした





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08441697.jpg

草色のお家

草色は涼しそうですねぇ

草色のお家に良く似合っていた 赤いミニクーパーは いずこに





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08442097.jpg

赤い車

赤い車にピントを合わせていたら じりじりと太陽光線が

あかん、暑くなってきました
帰ろう





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_08442512.jpg



日曜日の朝

やっぱり日曜日ですね

おひさまっこ保育園にも だれも来ません





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サン System Zoom 85-210mm F4.8 の 話し_b0069128_16173867.jpg

生きてます

おっと、こいつをアップするのを忘れておりました

地獄の暑さのなかで ぐったりとへこたれているように見えます

でも 元気でキャベツとドッグフーズのご飯は バリバリ食べます ♬





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 ■ 2020年8月11日~16日 撮る
 ■ 1 & 2枚目 AF Micro Nikkor 60mm F2.8 on Nikon D700
 ■  3枚目 PC画像を Winshot で取り込み
 ■ 4~18枚目 Sun System Zoom 85-210mm F4.8 on Sony α7 II

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50年以上むかし 東京光学が設計したズームレンズ、それを製造したサン光機やペトリ
どちらも倒産してしまい 東京光学は写真産業から撤退し いまはその形見のレンズが残るばかりです

サン システムズーム 85-210mm F4.8 は そんな経緯があるレンズの子孫なのです
そんな事を考えながら 重いレンズを抱えて写真を撮っています

東京光学、サン光機、ペトリ に 幸あれ







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Commented by delsole7 at 2020-08-18 13:56
オールドレンズにはそれなりのヒストリーがあるのですね。
Commented by nakajimaakira1948 at 2020-08-18 21:36
delsole さん、おひさしぶりです こんばんは!

はいっ、むかしのレンズには 現代人が忘れ去った歴史がいっぱいあるのです。

そんな歴史に思いを馳せながら使いますと、Sun System Zoom 85-210mm F4.8 も
ちょっぴり良い写りをしてくれたようです (^^)

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Commented by varifocal at 2020-08-22 16:13
こんにちは。

私はペトリもトプコンも、鏡胴デザイン、マウントだけを変更してサンに製造依頼したと思っています。
中身の構成はほとんど同じだと思います。
分解はしておりませんので証拠はありませんが、私はペトリ、トプコン(RE、IC-1用Hiズームトプコール)、サンの、この焦点距離近辺のズームレンズを所有しており、サイズやレンズを外から覗いてみた感じでは、レンズや動枠の動きなど、ほとんど一緒です。(年式による小改良はあるかもしれませんし、マウントが違うので全長・重さなどの差はあります)
以上の点からして、トプコンが既存のサンのズームレンズのカムに合わせた新レンズ構成のズームレンズをわざわざ設計する?という疑問が湧きます。「ズームレンズはレンズ専門メーカーに依存、コスト削減」と『トプコンカメラの歴史』にも書いてありますので、設計も製造もサン、というかペトリもトプコンも既存サンズームの外装別バージョン、と私は捉えています。
某クラブさんはどこから得た情報なのか気になります。

このレンズ、ちょっと前までは色んな所にありましたが、最近はあまり見掛けなくなりました。
弟みたいな65‐135mmもカッコイイです。奇麗な個体を探し出すのに結構時間が掛かり、去年くらいにようやく見つけて購入しました(二束三文価格でした)
サンは戦前ライカのレンズを磨いていたという情報(千葉県の大網白里の広報誌)もあります。ホントかウソか分かりませんが、それだけ精度の高いレンズを造っていたのだと思います。今も生き残っていたら・・・歴史にタラレバはありませんが、惜しいですね。
Commented by nakajimaakira1948 at 2020-08-23 16:50
想桜さん、こんばんは!

そうですねぇ、1967年の総合カタログには サン ハイテレズーム 85-210mmF4.8 と
ペトリズーム 85-250mmF4.8は 写真があるのに、トプコンが設計したという
REズーム オートとプコール 87-205mmF4.7 の姿がないというのは どう考えてもおかしいと思います。

もし 東京光学が最初にこのズームレンズを設計したという話しが真実だとしたら
きっと レンズ構成はこの図面通りにこうこう、第2群はこう動き 第3群はこう動くと
レンズのコンセプトだけをサン光機に伝えたのではないでしょうか。

いまは 倒産して無くなってしまったサンとペトリ、写真機産業から撤退してしまった東京光学
真実は 生き残っているかたの話しを聞くより ほかに知るよしもありませんが。

トプコンクラブには「コーティングの色も3社とも異なっており」違うところで造られたものと
書いてありますが、すべてサン光機で造られたものと見るのが正しいでしょう。
ペトリのズームだけが 9群13枚というのも 張り合わせエレメントを貼り合わせなかったというだけでしょう。

サンは、戦前は上代(かじろ)光学研究所といい K.O.L(Kajiro Optical Labo)75mmF4.5 を
オリンパスシックス用に付けてのが 日本で発売した最初だったと思います。

その後、ライカ用やエキザクタ用の Sun Sola 90mmF4 などを造りましたね。
わたしのエキザクタ用の サン ソーラ90mmF4 は 壊れたままですが(涙)

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by nakajimaakira1948 | 2020-08-16 10:13 | 85-210mm SUN System | Trackback | Comments(4)

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