MC Jupiter-9 85mm F2 の 昔の写り
2020年 09月 21日
ひさしぶりに、ロシアンレンズの MC ジュピター 9 85mm F2 での写真です
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MC Jupiter-9 85mm F2 on Pentax Spotmatic
このレンズの歴史は古いです
まず祖先は、カールツァイス イエナの 距離計コンタクッス用の ゾナー 85mm F2 です
そのゾナー85mmを ソ連時代のモスクワの KMZ(クラシノゴルスク = 美しが丘)機械工場で
100%コピーレンズの Jupiter(ユピテール)を造ったのが 戦後の1951年でした
そのときのカメラは ゾルキー(Zorki)、フェド(FED)と レニングラードなど距離計カメラでした
マウントは コンタックスからバルナックライカの L39スクリューに変更されておりました
1958年に KMZは 同社製一眼レフのゼニット(Zenit)用のJupiter-9 を造り
モスクワ近郊のリトカリノ(Lutkarino)の LZOSでも一眼レフ用の Jupiter-9を造り出します
その後 いろいろ小変更を続けながら 1990年頃まで造り続けられたロシアの銘レンズです
仕様を書いてみましょう
概要: 1970年から リトカリノLZOS製 35mm一眼レフ用 中望遠レンズ
正式名称: MC Jupiter-9 85mm F2
マウント: プラクティカ(= M42)マウント
焦点距離: 85mm
明るさ: F2~F16
レンズ構成: 3群7枚
最短撮影距離: 80cm弱
絞り羽根: 15枚
絞り機構: プリセット式
コーティング: マルチコーティング風*
フィルター径: φ49mm
重量: 実測 365g
*マルチコーティング風と書いたのは MCというレンズ名称にあやかっているのですが
確かに 赤色、だいだい色、青色、白色など マルチコーティングでしか出せないコーティングなのですが
どうも 日本製のマルチコーティングとは異なったコーティングが施されているようです
マルチコーティングとは、レンズエレメントの各表面に最近では10種類を超えるコーティングを行い
レンズを前玉から覗くと スッキリと絞り羽根まで見えるのですが
この MCジュピター 9 85mm F2では スッキリ感がないようなのです
■ 2020年9月18日 ■ AF Micro Nikkor 60mm F2.8D on Nikon D700
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15枚の絞り羽根
15枚の絞り羽根というのは このような見事な円形絞りになります
いかにも プリセット式絞りです
この MCジュピター 9 85mm F2 は M42マウントでありながら
マウント側に絞り込みピンを持っていません
絞って 被写界深度の効果を見るときは、鏡胴の絞りリングを指でまわさねばなりません
わたしは むかしのレンズを使うときは いつも絞り開放で使いますので
プリセット式絞り大好きで 絞り羽根の枚数の多いレンズが好みであります
以上でゴタクは終わり、MC Jupiter-9 85mm F2 を ソニー α7 II に付けた
絞り開放写真に行ってみます
■ 2020年9月20日 ■ AF Micro Nikkor 60mm F2.8D on Nikon D700
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ボケ味
ううむ、すごいボケ味です
ペンタックス K2にピントを合わしてみましたが 前後は美しく大きくボケていますでしょ
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DIETZ
22年ほど昔に買った 独デイツ製の灯油ランタンです
一度しか使ったことはないけど
ハンドメイドのブリキ板が 美しく錆びてきました
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夜の おひさまっこ保育園
写真は 左下がりですが 柔らかく撮れています
すこし ピントが甘いですね
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夜景
最近のレンズのように シャッキリしたピントはありませんが
見たとおりに撮れていると思います
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歪曲収差テスト
中望遠レンズは 歪曲収差の補正は た易いのです
MC Jupiter-9 85mm F2 は 非対称型レンズですので 歪曲が出るかなぁと思いましたが
認められませんでした
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ミミちゃん
うう~ん、ミミちゃんを撮るときは
もうちょっと 切れ味がほしいぞ
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なかよしワンコ
やわらかく写っているけれど
やっぱり シャープネスが不足しているように感じます
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むかしの写り
どうした MC ジュピター 9
マルチコーティングという名称が 疑いたくなるフレアーっぽい写りです
逆光気味ではあるけど
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地球儀と海賊船
コントラストは弱いけど 遠近感も出たように感じます
好きな写真です
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夕焼け小焼け
豊中の 夕焼けです
きれいに 見たままの色で撮れましたよ
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■ 2020年9月18日~21日 撮る
■ 3~12枚目 MC Jupiter-9 85mm F2 on Sony α7 II
■ 絞り優先AE、すべて絞り開放 F2
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MC Jupiter-9 85mm F2 の 写り、いかがだったでしょうか
マルチコートを施したレンズとは思えない フレアーっぽい写真もあり
一言で言えば「むかしの写り」ですねぇ
わたし、むかしの柔らかい写りをするレンズも好きです
まあ ロシア製ですので、1951年にジュピター 9 が造られてから
全くレンズに手を加えていないということも考えられますし
1951年のレンズの味を 今に残すレンズ と いうことにしておきましょう
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このレンズ、欲しいんですよ。
でも、昨今はなかなか敷居が高くなってしまって尻込みしてます。^^
このレンズで美しいおねぃさん撮ったらさらに美しくなるんでしょうな~。^^
わはは、このMC Jupiter 85mmF2 は ロシア製では とても安いレンズです。
1990年代には 日本の中古レンズ屋さんで 新品が3,000~5,000円くらいで売られておりましたよ。
ソ連とロシアで 滅茶苦茶たくさん造られたレンズですので ペンタックスのタクマー55mmF1.8のように
中古品では 値段が付かない状況が続いておりました。
わたしは15年ほど前に このレンズをブログ友達のクマさんという方から頂いたので
今の MCジュピター 9 の値段は知りませんが 敷居が高い値段ではないと思います。
あっ、KMZ(クラスノゴルスク)製の 旧ライカ用のL39スクリューマウントの ジュピター85mmF2は
高価かも知れないですね。
リトカリノ製のジュピターは、MCになる前の単層膜コーティングのものも MCの表示のものも
とにかく安いです。
リトカリノ製のジュピター85mmには 〇と△の中にCが入ったマークの レンズキャップが目印です。
美しいおねぃさんがいたら、べつにどんなレンズでも美しく撮れると思いますが
そんな事を考えさせるレンズでありますね。