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パールI RS型

2016年2月18日(木曜日)

1950年10月に発売されたセミ判(6 x 4.5cm)の パールI-RS型を紹介します。

パールは、明治42年(1909年)六櫻社時代の「パール手提暗函3号」から連綿として続いた
日本最古のカメラメーカー 小西六写真工業製の 伝統のカメラ名の「真珠」です。

レンズは 職業写真家も腰を抜かした銘玉 ヘキサー75mmF4.5が付いております。
シャッターは 1949年1月発売されたパールI型のデュラックス(T,B, 1-1/100秒)に変わって
自社製コニラピッド(B, 1-1/500秒)付きにグレードアップされています。

距離計は、パールI型と同じく非連動の二重像合致式が内蔵されています。

それでは 真珠カメラの各部を見てみましょう。





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外観

ブローニー判(6cm x 6cm)の横幅を25%短くして6cm x 4.5cmとしたセミ判のフォーマットで
縦横比は、日本判(ニコン判)の32mm x 24mm判や 現在のフォーサーズ判と同じ4:3です
ブローニー12枚撮りフィルムで 16枚撮りとなります

外観は、ブローニーフィルムを使う割に小型で可愛いです
蛇腹式のフォールディング(折り畳み)カメラで、通常のシャッターボタンの位置にあるボタンを押すと
前蓋が開いてレンズが飛び出します
このようなカメラをスプリングカメラと呼びますが
これはスプリングを使っているからではなく ドイツ語のスプリンゲン(ポンと飛び出す)から来ています

開閉する前蓋の根元にあるボタンがシャッターボタンなのですが
この写真では写っていません
写真の構えで撮ると横位置構図が撮れますが 左手の親指でシャッターボタンを押すことになります
縦位置構図の写真を撮るときは 左手の人差し指でシャッターボタンが押せます

レンズのヘキサー75mmF4.5を見てください
65年以上昔のレンズとはとても思えない美しさです
シアン系主体の単層膜コーティングを透して シャッター羽根がきれいに見えております

前のオーナーは レンズは一度も磨かなかったようです
拭き傷は全くありません
これは全く正しい態度だと思います
カメラ本体は大分使われたあとがあるのに ヘキサー75mmF4.5は新品のようですもの





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上面より

写真の軍艦部の向かって左より
アクセサリーシュー、その前のボタンが前蓋開き用ボタン、Pearlの文字の右が 非連動距離計ダイアル

レンズ部の前から
ローレットのリングがシャッター速度リング、シンクロソケット、距離(フォーカス)リング、蛇腹

前蓋の根元付近にあるのが シャッターボタンです

なんでこんな所にシャッターボタンがあるのかと思われるでしょう
カメラ本体からレンズが出たり入ったりする折り畳み式カメラでは ボディとレンズとの距離が大きく変わるため
カメラの軍艦部にシャッターボタンを置いたのでは レンズとの連結が難しいからです
前蓋はレンズが飛び出してからは固定されるので 前蓋にシャッターボタンを置き
それを押すと 簡単なテコの組み合わせでレンズ鏡胴にあるシャッターレバーを跳ね上げる構造にしています





3
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前蓋を閉じた状態

前蓋を閉じた状態では 非常に薄くなります
横幅・高さ・厚さは 119 x 100 x 45mm です
前蓋を開いてレンズを出すと 厚さが93mmになります

左側の前蓋についているのがシャッターボタンで、軍艦部にあるのは 前蓋を開けるボタンです

前蓋の中央に見えるのは ボディを縦に置いたときに前に倒れないようにするレバーです





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非連動距離計

パールI-RS型の特徴である 非連動距離計の使い方について説明します

1. ファインダーを覗きながら 被写体までの距離を二重像合致距離計で合わせます
2. 二重像の合致はレンズの距離リングを回すのではなく、写真のPearlの文字の下の距離計ダイアルを回します
3. 二重像が合致したら 距離計ダイアルが何フィートを示しているかを読み取ります
4. 読み取ったフィート数と同じ数値まで レンズの距離リングを回しセットます

非連動距離計は 単体距離計を使って距離を合わせるのと同じ要領です
非連動距離計ダイアルの距離目盛と レンズの距離リングの目盛りが全く同じ表示なので
単体距離計を使うよりも少し合わせやすいという感じです

なぜ連動距離計を設置しなかったのかという疑問に対する答えとしては
シャッターボタンが前蓋にあるのと同じ理由です
折り畳み式カメラでは ボディとレンズとの距離が大きく変わるので ボディの距離計とレンズを連動するのが難しかったのです


前蓋の根元にあるシャッターボタンが見えています
写真は横位置構図の状態で 左手の親指でシャッターボタンを押します





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シャッターボタン

このボディを横にした構えだと縦位置構図になり シャッターボタンは左手の人差し指で押せます
パールI-RS型では 左手でのシャッター操作は避けられないようです


蛇腹の上下の「たすき」の第一関節部分を同時にボディ側に押し込むと 「たすき」が折れてレンズ部をボディに収納できます
このとき ピントリングは無限遠位置にして レンズ鏡胴の長さを短くおかないと
「たすき」は押せますが 前蓋と干渉してしまい鏡胴が収納できませんので注意が必要です





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ヘキサー75mm 1:4.5

小西六ご自慢の ヘキサー75mm 1:4.5 です
このヘキサー75mm1:4.5 は、小西六になる前の戦前の六櫻社時代のセミパール1938年から
連綿として続いている銘レンズです


ヘキサーの「サー」と伸ばすのは 3群4枚構成のテッサー型レンズの名称です
ヘキサノンの名前は ガウス対象型やその他の構成枚数の多いレンズに使っています


富士写真機でも、フジナーは3群4枚のテッサー型で フジノンはそれ以上の構成枚数のレンズです
どうもドイツのシュナイダー社の、テッサー型のクセナーが3群4枚で
クセノンがそれ以上の構成枚数だったところから来ているようですねぇ





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コニラピッド-S

これも小西六写真工業ご自慢の自社製レンズシャッター、コニラピッド-Sです
B, 1, 2, 5, 10, 25, 50, 100, 250, 500 のシャッタースピードを誇るレンズシャッターです
シンクロ接点は コダック式のFタイプが付いています


ローレットリングの下部のレバーが シャッターのチャージレバーです
上に持ち上げてセットします

折り畳み式カメラではセルフコッキング(フィルム巻き上げとシャッターチャージの連動)は 難しかったので採用されていません
フィルムの巻き上げとは関係なく、何回でもチャージ出来て何回でもシャッターが切れます





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フィルム巻き上げ

フィルムの巻き上げは 裏蓋の赤窓を開いて ボディ下部のキーを起こして
フィルム裏紙の番号を見ながら巻き上げます

パールI-RS型には フィルムカウンターはありません
赤窓を通して見るフィルム裏紙のナンバーが フィルムカウンターの役目をするからです

ブローニーフィルムですから 巻き戻しは不要です





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ヘリコイド

ピント合わせは、前玉回転ではなく ヘリコイド(らせんネジ)による直進式です

ヘリコイド部分は むき出しになっています
これなら わたしでも簡単にグリスを塗り替えれますが ほこりや砂などが入りやすそうですね





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裏蓋を開けて

裏蓋を開けたところです
定石通りの構造で 特に変わった部分はありません

フィルムを入れるときには 左側の巻取りスプールを右に移します

左側のヒンジのところ等が錆びて赤錆が出てきております
あとでメンソレータムを塗って外気と遮断しておきましょう





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Made in Occupied Japan

ボディ左側の貼革にひっそりと Made in Occupied Japan と刻印されています

第二次世界大戦後、1945~52年の7年間 日本はアメリカの占領下にありました
そうちの1947~52年の5年間、輸出品にはMade in Occupied Japan と記すことが義務付けられました

パールI-RS型は、1950~51年に造られましたので ちょうどこの期間にあたるのです
ううむ、このパールI-RSは輸出品だったのか


ちなみに、わたしの高千穂光学のオリンパスクローム6 IIIAも1950年製ですが
国内用だったのか Made in Occupied Japan は 刻印されていません



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 ■ 2016年2月15日撮影
 ■ AF Micro Nikkor 60mmF2.8D on Nikon D700
 ■ Speedlight ON

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小西六のパールI-RS型、ちょっと使いにくいところは 左手でシャッターを押すところでしょうか

前蓋の開閉のヒンジを右側にもって行けば 右手でシャッターを押すことが出来たのにと思います
しかし そうすることでヘキサー75mmF4.5のシャッターチャージ機構も左右逆の構造にする必要があるので
小西六は ご自慢のヘキサーに手をくわえるぐらいなら 左手シャッターボタンを選んだのでしょうね


ミノルタと合併して生き残りを図ったコニカも フィルム・カメラ業界から撤退してしまいましたねぇ
時代の習性とは言え ほんとうに惜しいメーカーを無くしたものです











by nakajimaakira1948 | 2016-02-18 10:17 | 60mmF2.8D AF Micro | Trackback | Comments(4)

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